【NBAファイナル2024展望】セルティックス対マーベリックス
フェアであろうがあるまいが、ボストン・セルティックスはNBAファイナルまでの道のりが容易だったという批判を受けるだろう。しかし、目の前の相手と戦う以外にない。そしてセルティックスは、ここまでポストシーズンで12勝2敗という成績だ。 【動画あり】ルカ・ドンチッチがウルブズ戦で魅せたアンストッパブルな活躍! そしてセルティックスは、レギュラーシーズンで2位に14ゲーム差をつけてイースタン・カンファレンスの第1シードを獲得し、76試合目にして早々にプレイオフを通じてのホームコートアドバンテージを確実にしたチームである。常にそれらしいプレイだったわけではないが、シーズンを通じて記録的なリーグ最高チームだった。 一方、ダラス・マーベリックスはまったく異なる道のりでサプライズのNBAファイナル進出を果たした。ロサンゼルス・クリッパーズ、オクラホマシティ・サンダーとのシリーズを制し、ウェスタン・カンファレンス・ファイナルではミネソタ・ティンバーウルブズをやすやすと沈め、多くの人を驚かせている。 ただ、シーズン最後の3分の1に注目していた人にとって、ウルブズとのシリーズにおけるマーベリックスのパフォーマンスは衝撃的ではなかったはずだ。トレードデッドライン(トレード期限)にチームを大幅につくり替えて以降、マーベリックスは21勝9敗という成績だった。第5シードだったが、それ以上に良いチームだったのだ。 NBAファイナルはセルティックスにとって、今プレイオフで最大の試練となる。圧倒的な勝利を収めれば、優勝リングまでの道のりがたやすかったとの見方を払しょくするはずだ。しかし、マーベリックスもそうはさせないだろう。彼らは多くの危険を乗り越えてNBAファイナルまでたどり着いたのだ。攻守両面で素晴らしいチームだと証明してきた。 そんなセルティックスとマーベリックスのシリーズは、どのような戦いになるだろうか。
セルティックス対マーベリックスの予想
両チームにとって重要となるのが休養だ。ルカ・ドンチッチはひざが万全でない中で、プレイオフを通じて見事な出来を見せてきた。ウルブズとの第3戦で首を痛め、第5戦で復帰したデレック・ライブリー二世は、マーベリックス最高のビッグマンだ。クリスタプス・ポルジンギスは、ふくらはぎのケガでファーストラウンド以降欠場している。いずれもシリーズでキープレイヤーとなる選手たちだ。 セルティックスをけん引するのは、もちろんジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンだ。しかし、ポルジンギスはチームの2番手になることもあった選手である。そして特にマーベリックスとのシリーズでは極めて貴重な存在となるだろう。ポルジンギスは今季、マーベリックスとの1試合に出場しているのだが、24得点をあげている。そして何より、3ポイントショットが8本中4本成功だった。 マーベリックスはこれまで、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーやアンソニー・エドワーズなど、リーグ屈指のアイソレーションスコアラーを止めてきた。オープンな3Pを打たれることを犠牲にし、ペイントを埋めることでそれを達成してきたのだ。サンダーもウルブズも、長距離砲を生かすことができなかった。だが、セルティックスはポルジンギスが素晴らしいピック&ポップのオプションとなる。マーベリックスの守備戦略を難しくさせることができるはずだ。 セルティックスは長距離からショットを次々に沈めてくる。フロアを広げ、あらゆるところから攻撃をつくれる力を持つチームだ。プレイオフを通じて、マーベリックスはカイリー・アービングとドンチッチの守備が大きく向上した。だが、このシリーズでは容赦なく試されることになる。 ただ、マーベリックスはセルティックスの攻撃についていけるはずだ。アービングかドンチッチのどちらかが2枚のボールスクリーンを生かし、素晴らしいロブの脅威を生むダブルドラッグを止めることは、誰にもできなかった。 また、セルティックスはポルジンギス、アル・ホーフォード、ルーク・コーネットでドロップディフェンスをすることを好むが、マーベリックスはそういうビッグマンを苦しめてきた。セルティックスは調整や違うことを試す必要があるかもしれない。 ドンチッチの存在が、このシリーズを接戦とするだろう。あまりに優れた選手で止めるのが難しい。だがそれでも、セルティックスは攻守両面で優位にある。