「63歳で娘を授かり」クリス・ペプラー「結婚=子どもと考えていなかった自分が」診察室で号泣したわけ
でも、妻が妊娠6か月ぐらいのとき、検診に付き添ってエコーを見た瞬間、自分のなかの父性のスイッチがいっきにONになったんです。 ── どういう状況だったのでしょう? クリス・ペプラーさん:すごくちっちゃいのに、もう人のカタチをしていて、生命の神秘を感じて胸が熱くなりました。モニターに映った小さな心臓がバクバクバクバクと動いていて、一生懸命に生きようとしている。それを見た瞬間、心の中のダムが決壊して、感情が一気になだれ込み、診察室で号泣してしまったんです。心と頭が合致して、「ああ、こういうことなんだな」と妻の気持ちが初めてわかりました。あの感動は、きっと一生忘れないと思います。
──「心が追いついた」瞬間だったのですね。 クリス・ペプラーさん:男性もフェロモンや匂いだったり、何かのきっかけで「お父さんホルモン」が解除されるという話をよく聞いていたのですが、僕にとっては、まさにあの瞬間がそうでした。娘の小さい心臓が懸命に生きようとしているのを見て、「僕はこの子のことを一生愛するし、この子のためだったら何でもできる」と強く思いましたね。
■パパとおじいちゃんが一緒になったような ── 出産まではいかがでしたか?
クリス・ペプラーさん:出血して病院に行ったり、娘の首にへその緒が巻きついてしまい救急室に入ったりと、初めての子どもというのもあって出産までハラハラしっぱなしでしたね。無事に産まれてきてくれて、本当にありがとうと言いたいですね。もちろん妻にもすごく感謝しています。 遅ればせながらのパパデビューでしたが、今は毎日すごく楽しくて充実しています。娘は、だいたい僕の同級生の孫と一緒に遊んでいます(笑)。年齢がいってからの子どもなので、どうしても甘くなってしまいますが、パパとおじいちゃんが一緒になっているようなものなので仕方ないかなと(笑)。とにかくかわいくてたまりません。
「もっと早く子どもを持つことを考えなかったの?」とよく言われるのですが、こればかりは巡り合わせ。これが自分の運命なんだなと、強く感じます。 ── 幸せそうな表情から充実している様子が伝わってきます。どんなパパでいたいですか? クリス・ペプラーさん:娘が生まれてから、「子どもの見本になるような人間でありたい」という気持ちが強くなりました。自分の行動を振り返ったり、いい人であろうと努力するので、自分自身の人間形成にも役立っている気がしますね。