東北から復興の次なるストーリーを 独立系VCスパークルが描く戦略
スタートアップとアトツギベンチャーが交差し、旗を立てる挑戦者を瀬戸内から応援する新たな経済番組「Setouchi Startup Flag」(通称・セトフラ)。 瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。 今回は、東北から全国の地域・地方のためにファンド事業やインキュベーション事業を展開するスパークル代表取締役の福留秀基さんをゲストにお迎えした回をご紹介。 人口減少が進み、さまざまな課題が顕在化する東北から、地方や地域の希望になるロールモデルとして新たな経済循環を作ることを目指すスパークル。なぜ福留さんは東北でファンド運営会社のMBO(経営陣による自社買収)をしたのか。その背景にある思いと今後の展望をお届けします。 ◾️地域企業向けコンサルティングをするために東北へ 福留:仙台から来ました、スパークル代表取締役の福留です。私の出身は大阪府堺市ですが、東北大学に通っていたご縁もあり、東北の結節点である仙台を拠点にしています。東京のコンサルティング会社に就職してから、仙台に戻ってきました。 やっていることは大きく3つで、1つ目はファンド事業です。地域には挑戦する人と応援する人が必要だと思っています。応援する人である地元企業や地域出身者と、起業家やアトツギを結びつけるようなファンドを運営しています。 2つ目は地域企業を対象にした経営ソリューション事業。単にお金をもらうためコンサルティングをしているわけではなく、スタートアップやアトツギという界隈を知ってもらうためにあえてコラボレーションしてもらうようなプログラムを作っています。3つ目は、インキュベーション事業として、学生や教職員の方の起業創業支援や人生相談に乗っています。 藤田:東京から仙台に戻ったきっかけは何でしたか? 福留:コンサルティングの仕事をして3年が経ち、色々なプロジェクトを一巡して見せてもらったんです。そうすると、同期が転職する話が増えていったんですよね。その当時はまだスタートアップに行く人は少なく、他のコンサルティングファームに行って年収をあげていく人が多かった。ですが、私は支援者側にはなりたいものの、コンサルティングファームで大企業向けのコンサルティングをしていくことにはしっくりこなかったんです。 そこで地域に目を向けました。周りの人には仙台に戻ってどうするのかと言われましたが、分からないながらに戻ってみようと思って。実はベンチャーキャピタル自体あまり知らないまま、地域企業向けのコンサルティングをしたくて、スパークル前身のMAKOTOキャピタルに入りました。 震災を機に創業者の竹井智宏さんが作られた会社の子会社です。竹井さんは以前の会社で震災で傷ついた福島に倒産・破産した方を呼び込み、改めて起業する人向けに投資をするファンドを作られた、ユニークな方です。私は2019年末に彼が東北向けのファンド運用のため作った子会社に入社して半年で社長になり、2年強経った時にMBOをしてリブランディングで社名を変えています。