臨時国会召集 立民、影の薄さ挽回できるか 「野党の盟主」も国民民主に主役の座を奪われ
臨時国会が召集された28日、立憲民主党は党内会合などで「野党の結束」を繰り返し訴えた。先の衆院選では公示前から50議席増の148議席に躍進したが、その後、政策や国会運営では国民民主党に主役の座を奪われた。ただ、立民は主要な衆院常任委員長ポストを握り、衆院各委員会では野党が多数派を占める。数の力を発揮できる待望の国会が始まり、立民は「影」の薄さを解消できるか。 立民の野田佳彦代表は28日の党会合で、「自民、公明両党を過半数割れに追い込んだ結果、どういうことが起こるのか。国会活動を通じて国民に示したい」と述べた。野田氏は国会改革に関する党会合にも姿を見せ、自身が提唱する「熟議と公開」という新たな国会審議の在り方の提示に意欲を燃やした。 ■国会開会で〝ショータイム〟 衆院選で「政治とカネ」に焦点を絞り、与党を過半数割れに追い込んだ立民だが、選挙後は「103万円の壁」引き上げなどを掲げた国民民主に話題をさらわれた。特別国会の首相指名選挙でも立民は野党をまとめられず、野田氏は首相の座を逃した。国民民主にあやかり、立民も「壁」に関する政策発信を強めたが、あまり注目されなかった。 ただ、国会が始まれば状況は変わる。小川淳也幹事長は同日の党会合で「衆院では委員会室も野党が多数を占めるという久方ぶりの風景を体感していただくことになる」と述べ、立民の〝ショータイム〟開幕を宣言。党幹部は「国会が始まれば野党第1党で力を持つのは立民だということが分かる」と意気込む。 ■野党結束、早くもほころび 待ちに待った臨時国会の初日、立民は野党全8党派の国対委員長会談を国会内で開いた。会談後、立民の笠浩史国対委員長は記者団に「野党が協力して国会対応できるよう臨んでいきたい」と述べ、野党の結束を重視する考えを示した。 だが、早速、ほころびが見える。国民民主の古川元久国対委員長は同じ時間帯に開かれていた来年度税制改正に向けた与党協議を優先し、代理として村岡敏英衆院議員を差し向けた。古川氏は欠席理由について「身体は1つしかない」と周囲に説明した。 「野党離れ」が目立つ国民民主だけでなく、日本維新の会は新執行部のメンバー次第で立民との距離感は変わる。衆院選で敗北した共産党も来夏の参院選を巡って態度を硬化しかねない。国会が始まっても立民には遠心力が働くが、党中堅は「今は動かず、静かに見ていればいい」とつぶやいた。(千田恒弥)