公道では「上澄み」に過ぎない BMW M2 長期テスト(最終) 8速ATの素晴らしい仕事ぶり
シートは硬め 洗練度と完成度は非常に高い
他方、身体を包み込むようなバケットシートは、筆者には少し硬く感じられた。長時間運転していると、身体のあちこちが痛くなる場面が少なくなかった。単に、歳のせいかもしれないが。 燃費も、長距離移動向きの効率とはいえない。最終的な平均値は10.3km/Lで、460psのスポーツクーペだと考えれば優秀ではある。とはいえ、市街地ではそこまで伸びないし、積極的に走らせた夕方にはガソリン代と向き合うことになる。 いくつかの弱点を踏まえても、総じてG87型のM2は素晴らしいクルマだった。洗練度と完成度は非常に高い。動力性能と快適性とのバランスも悪くない。心の底から、運転が楽しいと思える。 インフレの話題へ戻るが、少し前のG87型の英国価格は、素の状態で6万2420ポンド(約1198万円)だった。これでも驚くほどのお値段といえるが、フェイスリフトに伴い価格も改定され、現在は6万3360ポンド(約1216万円)へ上昇している。 そのかわり、最高出力は20ps増し。最大トルクも若干増えた。長期テストの中で、これ以上の馬力が欲しいとは感じなかったけれど。 BMW M4の英国価格は、9万ポンド(約1728万円)に迫る。Mモデルの最新クーペをお考えなら、筆者はM2を強くオススメしたいと思う。キドニーグリルも、まだそこまで巨大化はしていない。
セカンドオピニオン
普段使いできる高性能クーペは、絶滅危惧種。提供してくれているBMWには感謝しかないが、筆者はゴテゴテとしたスタイリングには余り共感できていない。 インフォテインメント・システムの使い勝手も、もう少しを望んでしまう。路面が滑らかで、天気が良ければ、最高の運転体験に浸れるのだが。 フェリックス・ペイジ(Felix Page)
テストデータ
■気に入っているトコロ 身近にあるパフォーマンス:ツインターボエンジンのレスポンスは最高。パワフルで、サウンドも素晴らしい。 印象的なスタイリング:すっかり珍しくなった2ドアクーペ。筆者は、このスタイリングを気に入っている。 一般道での爽快さ:流れるように弧を描く道と出会えれば、満ち足りた運転体験を享受できる。乗り心地も悪くない。 ■気に入らないトコロ 長距離の快適性:乗り心地は硬め。スポーツシートも硬め。 ■走行距離 テスト開始時積算距離:7438km テスト終了時積算距離:1万3315km ■価格 モデル名:BMW M2 クーペ(英国仕様) 開始時の価格:6万2420ポンド(約1198万円) 現行の価格:6万3360ポンド(約1216万円) テスト車の価格:6万6885ポンド(約1284万円) ■オプション装備 Mドライバーズ・パッケージ:2305ポンド(約44万3000円) ドライビング・アシスタント・パッケージ:1100ポンド(約21万1000円) M2コンフォート・パッケージ:730ポンド(約14万円) Mアルミホイール:330ポンド(約6万3000円) ■燃費&航続距離 公称燃費:10.2km/L タンク容量:52L 平均燃費:10.3km/L 最高燃費:11.4km/L 最低燃費:9.5km/L 航続可能距離:537km ■主要諸元 全長:4580mm 全幅:1887mm 全高:1402mm 最高速度:249km/h(リミッター) 0-100km/h加速:4.1秒 車両重量:1805kg パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:460ps/6250rpm 最大トルク:56.0kg-m/2650-5870rpm ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動) トランク容量:390L ホイールサイズ:19インチ(前)/20インチ(後) タイヤ:275/35 ZR19(前)/285/30 ZR20(後) ■メンテナンス&ランニングコスト リース価格:639ポンド(12万3000円/1か月) CO2排出量:198g/km メンテナンスコスト:なし その他コスト:なし 燃料コスト:669.9ポンド(約12万8000円/ガソリン) 燃料含めたランニングコスト:669.9ポンド(約12万8000円) 1マイル当りコスト:0.18ポンド(約35円) 不具合:なし
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)