「休日を奴隷のように奪われた」現役陸自隊員が危険なダンス練習を強要された"パワハラ"に怒りの告発
さらに著者は今年のダンス大会に向けた練習風景の動画を入手。ダンスの練習には、思わずヒヤっとさせられる危険な動きがいくつかあったのだ。 ① 3人が輪になって立ち、両手を掲げる。その手に足を乗せて1人の隊員が立ち、高い位置でポーズを決めた後、その隊員を放り投げキャッチする動き ② 多数の人が輪になり、その肩の上に乗る形でさらに人が輪をつくり、立ち上がる動き 特に①では放り投げられた中央の隊員を下で待っていた隊員が支えきれず、落ちかけているシーンが多数ある。②は立ち上がった隊員がバランスを崩すシーンもあった。 一歩間違えれば大けがにつながるような技も練習していたのだが、ダンス練習自体は命令なしに実施されているため、あくまで「自由時間に勝手にやったことだ」とみなされてしまうのだ。現役隊員からはこんな叫びが寄せられた。 「安全管理が足りません。負傷したらどうするのでしょうか?それぐらいのことをしていると思います」 「課外に束縛することを当たり前にしないでほしい」 「任務であれば24時間対応するが、そうでないのであれば勤務時間は守るべき」 ある自衛隊OBは説明する。 「ダンス練習に関して、部隊の行動として一般命令(通称:般命)や業務命令、隊長命令が出されていれば、つまり『業務上の命令文書』が出ていれば、隊員達はその命令にしたがってダンス訓練を行わなければなりません。でも命令、もしくは命令を示す文書が無ければ本来は強要できない。また今回のダンス練習は命令で行われていないのであれば、事故(怪我)をしても労災手続きできない可能性が高いです」 上官が命令文書を出さず、仕事の時間外に危険なダンス練習を実質強要していたとしたら、残念ながらパワハラと言わざるを得ないだろう。 現役隊員によると、一般命令(命令文書)が出されている事実は確認できない。さらに、別の自衛隊OBはこう明かす。 「高強度のダンスの練習での前例はありませんが、ラグビーなど業務時間外の競技会等で起きた事故については公務認定を受けられず、障害を負い、退職を余儀なくされた隊員も少なくありません」 ダンス練習で致命的な負傷をしたとしても補償がない不安やそれを何の疑問を持たずに許してしまう空気への不満が重なり、中途退職者が増え続けているのだ。