「立ちんぼ防止」へ路地を黄色く塗ってイメージ一新 大阪府警が意外な売春防止対策 移動先を想定、包括的な計画も不可欠
【カワノアユミの盛り場より愛を込めて】 大阪府警が新たに取り組んだ意外な売春防止対策が注目を集めている。 【写真】女性が並ぶ「立ちんぼ公園」と呼ばれる、東京の大久保公園前。全体的に若く、ルックスもいい 話題となっているのは大阪・梅田の表通りにもほど近いラブホテル街に位置する通称「アメリカン通り」と呼ばれるエリアだ。この路地は数年前から立ちんぼのスポットとして知られており、これまでにも逮捕などの対策が行われてきた。 しかし、このほど行われたのは心理的にも立ちんぼ行為をしにくい場所に変えようと、路面を黄色に塗装して明るく目立たせ、薄暗かった通りに街灯を新設する工事。イメージを一新した通りは10日、お披露目された。 かつて梅田で立ちんぼたちの拠点といえば、梅田の地下街にある「泉の広場」だった。待ち合わせスポットとして有名だが、十数年前からは立ちんぼたちが集まる場所としても知られていた。 府警は2019年から翌20年にかけ、同エリアで計61人の立ちんぼ女性を現行犯逮捕した。また、19年に大規模改修工事で「泉の広場」の象徴であった噴水が撤去された影響もあって、彼女たちは客引きの場を地上へと移し、至近距離にあったアメリカン通りを新たな拠点にするようになったのだ。 「泉の広場」のリニューアル工事のように、立ちんぼや違法風俗の集まる地域を再開発などによって改善した成功事例は実は少なくない。例えば東京・町田の再開発でも、かつて「青線」と呼ばれた町田駅南口のラブホテル街から青線の店舗が撤去されたことで、一帯の環境改善が進んだ。 ただし、大阪の状況はやや複雑だ。梅田のアメリカン通りと並び、立ちんぼスポットとして知られているのがなんば駅の地下街だ。事情通によればアメリカン通りは反社会的勢力が仕切っているが、なんばではその影響が少ないという。仮にアメリカン通りが売春防止に成功しても、彼女たちが次はなんばに流れてくる可能性は十分にある。 こうした場所は他にもある。梅田の「新御堂筋」から「お初天神通り」にかけての周辺道路で、昔から違法な客引きやガールズバーが多いといわれる。一部ではぼったくり店があるとも指摘されているが、いずれにしても一帯には若い女性が集まりやすく、立ちんぼ嬢らが紛れ込むと、警察の監視を逃れやすくなると懸念されている。 アメリカン通りで地域改善を試みた今回の府警の取り組みは現地でも評価されている。だが、現状では立ちんぼの移動先まで想定した包括的な計画が不可欠だ。他都市での成功事例も参考にしながら、引き続き大阪での対策に関心が集まっている。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外の夜遊びに費やした元キャバ嬢ライター。現在は、国内外の夜の街の変遷や日本人の海外移住などを取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/