トランプ「掘って、掘って、掘りまくれ」は地熱も?シェール革命の技術転用の可能性、日本にも追い風か
共和党地盤の州でも広がる再エネビジネス
トランプは選挙キャンペーン中の演説で、「大統領人なれば、私がグリーン詐欺と呼んでいるグリーンニューディールをすぐに止め、間違って名付けられたインフレ抑制法(IRA)の下での未使用の資金を全て撤回する計画だ」と述べている。 しかし、就任後にIRAの下での財政支援をすべて取りやめるのは困難だろう。トランプの支持者がIRAの恩恵を受けているからだ。 たとえば、米国での太陽光、風力発電導入に対しては投資税額控除(ITC)あるいは生産税額控除(PTC)制度が適用され、投資額、生産量に応じての税還付が可能だ。 23年時点での太陽光発電と風力発電設備の州ごとの累積導入量は、それぞれ図-1と図-2の通りだ。太陽光発電設備では民主党が地盤のカリフォルニア州が1位だが、2位から7位まですべて共和党が地盤の州が占めている。 風力発電設備では、全米の導入量の4分の1を共和党が地盤のテキサス州が占めている。風況に恵まれた中西部の州の導入量も多いが、中西部は共和党の地盤だ。 共和党地盤の州での風力、太陽光発電設備の導入が多いのは、風況と日照に恵まれた州が多いためだ。トランプ支持の企業、投資家もこれらの州で再エネ事業に係っている。 そのため再エネ設備に関する支援制度のいくつかは維持される可能性が高い。CCUS(二酸化炭素(CO2)の捕捉と貯留)に関するITCについても維持される可能性が高いと考えられる。 米国の石油・天然ガス業界は、石油、天然ガスの次の輸出品として、天然ガスから製造される水素を考えている。 輸入国は、水素製造時にCO2を発生しないクリーン水素を求める可能性も高い。そうなれば、製造時にCCUSの利用が必要だ。CCUSのITCも維持されるだろう。 IRAのすべてが反故にされるのではなく、トランプ支持者が必要とする制度と補助は残ることになる。地熱への補助は残り、拡大される可能性もある。