カズのJ1復帰の悲願散る。「これがサッカー」
ならば、またもや突きつけられた非情な現実を、どのように受け止めればいいのか。横浜FCからの正式な発表はまだだが、すでに52歳になる来シーズンの現役続行を明言しているカズは、こんな言葉を紡ぎながらサングラス越しに前を見つめた。 「12年ぶりのJ1へ手が届かなかったことがいまの自分たちの力だと素直に認めて、この経験をどのようにして生かしていくかを今日から考えなきゃいけない。選手ならば人のせいにすることなく、やらなければいけないこと、足りないことを自分自身に対して向けて、このクラブに捧げてきた情熱を引き続きもたなきゃいけない。クラブとしてもこの経験を無駄にしないようにしないと、そして積み重ねていくものを作らないといけない。ここで切れてはいけない、と思っています」 人間ならば誰でも、いつかは肉体的な限界を悟る。カズの場合は今シーズンの成績も相まって現役続行に懐疑的な視線や、あるいは批判の声も向けられるかもしれない。それでも、常にコンディションを整え、ベンチでスタンバイしてきた日々で培った自信を、ピッチに反映させる目標へ近づくために。常夏の島グアムにおける恒例の過酷な自主トレを、カズは今月および来月に敢行する青写真をすでに描いている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)