――ツアーを拝見して、バンドが本当にかつてないほどの説得力があって。だからこそ、やれるセットリストなのかもしれないですね。バンドには何が起きたと思いますか。 OSRIN　うーん、いい旅をしてきたんだと思いますね。シンプルに。『Sympa』までは俺の感覚的にインディなバイブスにまだ映ってて、『CEREMONY』でバンドが売れるということがどういうことか知ってしまったわけで。やっぱり、やりたいこととはズレていたり、世の中から同じようなオーダーばかり来るとか、いろんなことがあるんですよね。それでも、大希が自分のスタジオを持って環境を変えたこともよかったんだろうし。アルバム作りの中でいうと、MVを作っている自分が一番早く情報をもってる時期があったくらいだから、3人がそういういろんな流れのやり方を理解して、大希を支えたこともよかったと思うんです。何がベストが選択してきただろうし、3人はそれを信じて本気で考えたと思います。 ――観ていて思うのは、King Gnuは圧倒的にライブで曲が化けるということで。どんな曲も、やっぱりいいものにしたいという執念ですよね。 OSRIN　いや、もうその当時、ミュージックビデオも作ってたから、毎日、密にやり取りするんですけど、大希は、全然諦めないんですよね。楽曲をどうよくするかって。作曲家でもあるけど、すごいアレンジャーで、プロデューサーでもあるんで。でも、彼はうまいこと人に頼るんですよ。もちろん頼れるやつしかそばにいないんですけど。「）:阿修羅:（」のアレンジを和輝（新井）が考えてやってるのも、いい化け方した要因というか。いい意味で信頼しあってるから、ものすごくランダムに進んでいくんだけど、うまくはまり続けているんだろうなって思います。それもリスペクトのベースがあるからできることなんだろうけど。 ――ちなみに、常田さんに、ツアーを経てアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』を改めてどう思うか聞いたら、一言目に「ジャケがいいよね」と。 OSRIN　ほんとかよ（笑）。 ――最近、本人の目の前じゃないところで、褒めているように思いますが。 OSRIN　あまり直接褒めないからね、一言（笑）。なんていうのかな……自分は、ずっと彼の中で育てられてる感覚みたいなものはありますよ。もちろん反発もあるし、ムカつくこともあるけど、大希って人を育てるのが超上手なんですよね。才能を伸ばすことが上手い。だからファミリー体質なんだろうし、いろんなプロジェクトの主宰であり、原型なんですよね。 ――指揮者っぽいんですかね？ 才能を伸ばしつつ、全体を動かすという。 OSRIN　そうですね。だから俺としては、褒められてももちろんうれしいけど、彼が必要とするならば全力で助けるし、この1年に関しては、俺が守らなきゃっていう意識は、超強かったな。絶対、腐らすようなことにはしない、アルバムを絶対意地でも売ってやると思って作っていたし、「SPECIALZ」のミュージックビデオを作ったときも、果てしなく彼らが異質に、そして特別に見える映像にしないといけないなって思った。大希には、絶対に売れるという前提があるからには、「もう好き勝手やるべき」「ぶっ飛ばした方がいい」って伝えたし、それを全力で支えようって思ってた。彼ら4人と、バンドをとてつもなく、いい状態に持っていくことを本当に意識して、より自分ごとに考えた1年でしたね。 ――SNSでも、一連の『THE GREATEST UNKNOWN』は、1年かけたとおっしゃっていましたね。 OSRIN　長かったですね。非常に。ただもう次のことをやっているから……。今回のドームツアーに対して、自分がやったという達成感みたいなものは、毎度のことであんまりないんですよ。どんな景色を観ても、「いいもの観たな」っていう感じで。想像以上のものを観てる景色には、常に、やっぱり毎回泣きそうにはなるんですけど。 ――ちなみに、この1年で、OSRINさんはKing Gnu関連だけでなく、海外行かれてたじゃないですか。そういった旅を通しての刺激はありましたか。 OSRIN　ありましたね。やっぱり、日本はいかに島国かという。みんながみんな、気持ちよく仕事をやれているとは思わないけど、本当、俺はラッキーボーイで、トントン拍子できて。でも、海外にいって感じるのは、やっぱり「何者でもない」ということなんですよ。 ――おお、THE GREATEST UNKNOWNなんですね。 OSRIN　だから、もっと知りたいって思ったし、もっとよくなると思った。やっぱり、メンバーもそうだけど、5大ドームツアーのような天井を見る寂しさみたいなものもあると思うんですよ。でも、その天井を上げて、前代未聞を起こさないとって思ったかな。今って、90年代後半から2000年代の初頭に音楽がすごく強かった時代に、誰かがやってきたことであふれているから。俺らがひと区切り終えて思うのは、また、一からやるということで。それは、リファレンスがないことをやるってことになるんですよ。だから、それが楽しみですけどね。誰も経験していない、舞台をどう作るかっていう。 ――ちょうどKing Gnuがアジアツアーをまわっているときに、米・コーチェラフェスティバルがやっていましたが。 OSRIN　いや、すごかったっす。 ――おもしろい表現ってまだまだあるなというか。 OSRIN　まだやってないことってあるんだよね。日本の市場はいかに不安定かを感じるけど、じゃあ誰が日本を面白くするのかってものの中には、エンタテインメントがないといけないわけで。King Gnuは40万人呼べるんだから、次の世代とか、次の未来とか、次の日本として何ができるかって、本当、背負ってると思いますよ。相当。 ――King Gnuは、また何かやってくれるんじゃないかっていう、未来が見えます。 OSRIN　そうですね。前例がないことを、前例がない規模でやり続けるべきだし、人に何を言われようと、修羅を楽しんで進むしかない。売れちゃったんだから、その金で面白いことやるしかないですよね。とんでもない金があっても使いこなせないんだからさ。これからは、もっと夢を作らなきゃいけないというマインドですね。 ――『THE GREATEST UNKNOWN』のツアーって歴史的な瞬間だったと思いますが、リアルタイムで観ることができてよかったです。 OSRIN　本当、これから市場を変えるしかないなあ。最近、「天上天下唯我独尊」という好きな言葉があるんですけど、その意味を考えてて、ドームツアーをやったから自分らはすごいとかじゃなくて、上とか下とかもうどこでもない、比べることができない存在にならないとっていうか。5大ドームツアーももう終わった話というかさ。これから、誰もやってない我が道を行く。それが唯一語れる未来なんじゃないかな。 取材・文：PMC編集部 ＜リリース情報＞ ■『King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME』 2024年9月25日(水) リリース 【Disc1 / Blu-ray】 ・SPECIALZ ・一途 ・千両役者 ・STARDOM ・MIRROR ・CHAMELEON ・DARE?? ・Vivid Red ・白日 ・硝子窓 ・泡 ・2 Μ Ο Я Ο ・Vinyl ・W●RKAHOLIC ・W●RK ・):阿修羅:( ・δ ・逆夢 ・IKAROS ・Slumberland ・Sorrows ・Flash!!! ・BOY ・SUNNY SIDE UP ・雨燦々 ・仝 ・三文小説 ・ЯOЯЯIM ・Teenager Forever ・飛行艇 ・DOCUMENTARY MOVIE 【Disc2 / CD】 ・マスカラ ■『THE GREATEST UNKNOWN』アナログ盤 2024年11月27日(水) リリース 【収録曲】 ■Disc 1 1. MIRROR -メルセデス・ベンツ 新型EクラスCMソング- 2. CHAMELEON -フジテレビ月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』主題歌- 3. DARE?? 4. SPECIALZ -TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」オープニングテーマ- 5. 一途（ALBUM ver.） -『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌- 6. δ 7. 逆夢 -『劇場版 呪術廻戦 0』エンディングテーマ- 8. IKAROS 9. W●RKAHOLIC 10. ):阿修羅:( 11. 千両役者（ALBUM ver.） -NTTドコモ 5G「希望を加速しよう2nd篇」CMソング- ■Disc 2 12. 硝子窓 -映画『ミステリと言う勿れ』主題歌- 13. 泡(ALBUM ver.) -映画『太陽は動かない』主題歌- 14. 2 Μ Ο Я Ο- MARO CMソング- 15. STARDOM（ALBUM ver.） -2022 NHKサッカーテーマ- 16. SUNNY SIDE UP 17. 雨燦々 -TBS系日曜劇場『オールドルーキー』主題歌- 18. BOY -TVアニメ『王様ランキング』第1クール オープニング・テーマ- 19. 仝 20. 三文小説（ALBUM ver.） -日本テレビ系 土曜ドラマ『35歳の少女』主題歌- 21. ЯOЯЯIM