【巨人】中山礼都“プロ1号”がV弾「つなぐことだけ」吉川代役がヒーローに 崖っぷちから逆王手
<セ・CSファイナルステージ:巨人1-0DeNA>◇第5戦◇20日◇東京ドーム 巨人中山礼都内野手(22)が最高の“プロ初アーチ”をぶちかました。5回に先頭打者で右翼へ先制&決勝ソロを放った。レギュラーシーズンでも本塁打はない4年目。「7番二塁」でスタメン出場し、チーム唯一の1点を一振りで生み出した。左脇腹痛でベンチから戦況を見守る吉川尚輝内野手(29)の代役として、ヒーローになった。 ◇ ◇ ◇ レギュラーシーズンで1本も本塁打はない。その中山が1発で決めた。5回先頭、DeNA山崎の147キロ直球をフルスイング。投手の代わりばなを捉えた。両手に過去にない感触が残る中、打球の行方を見つめた。右翼席に飛び込むと、右腕を高々と突き上げた。お立ち台では「最高で~す!!」と2連発で大絶叫した。 左脇腹痛でベンチから戦況を見守る吉川の代役の立場だった。ロッカーも隣で野球論やプライベートな話も交わす先輩。昨季はネックレスをもらい、プレーする時も身に着けた。「(吉川)尚輝さんがいなかったからと言われないように」と臨んだCSファイナル。ベンチに戻ると、吉川から「ナイスバッティング。(喜ぶのは)まだだぞ。頑張れ」と声をかけられた。すぐに気持ちを入れ直した。 直球を捉えたのも成長であり、準備のたまものだった。次打者席、イニング間も夏前と違う姿がある。投球動作に合わせ、常にタイミングを取る。「今までは漠然と始動を早くと考えていたのですが、ボールの1個、2個分刺されてファウルになりやすかった」。今季イースタン・リーグは打率3割3分2厘も、8月まで1軍では打率1割5分。一線級の投手の直球に押し込まれる課題と向き合った。1軍再昇格した9月7日以降は24打数11安打の打率4割5分8厘。細かな意識でまるで別人となった。 ルーキーイヤーの21年は2軍監督だった阿部監督からは「ずっと1年目から見ているけど、あんな当たりは初めて見た」と最大級の賛辞を贈られた。指揮官から、負傷の吉川の代役に指名された14日に「ヒーローになっちゃうかもしれない」と期待を寄せられ、それを現実とした。イチロー氏、高橋由伸氏ら名外野手にちなんで「礼都(らいと)」と名付けられた4年目。「明日勝たないと意味がない。1打席1打席、本気で覚悟を持って打席に立って。しっかり結果を残せるようにやって」と喜びをかみしめつつ、次に目を向けた。代役が最高のヒーローとなった。【上田悠太】 ▼中山が5回に先制アーチ。プロ4年目で前日まで公式戦に通算160試合、CSに4試合出場して本塁打が0。公式戦で本塁打を打ったことがない選手がプレーオフ、CSで本塁打は初めてになる。日本シリーズで「プロ1号」は、50年第3戦荒巻(毎日)、52年第6戦森下(南海)、87年第6戦清家(西武)がおり、ポストシーズンでは中山が4人目。この1発が決勝点となり、ポストシーズンで打ったプロ1号がVアーチは初めてだ。また、中山は現在22歳6カ月。プレーオフ、CSでは22年ファイナルS第2戦村上(ヤクルト)の22歳8カ月を抜いて最年少Vアーチとなった。