“国産”のヨーロッパ野菜はなぜ作られたのか? イタリア料理店がじわじわ注目
日本の種苗会社はすごい
箱崎:さいたま市に「種」を販売する会社がある、ということですが、海外の種苗会社さんとなにが違うのでしょうか? 森田さん:ヨーロッパ野菜の種は、日本ではなかなか手に入らないんです。こういう時代ですから、インターネットで輸入して手に入るんですけど、やっぱり海外の種の品質って、発芽率が悪かったり……。あと、その種を買ったのに、違うものが出てくることもあるんですよ。 箱崎:えっ! 森田さん:でも、日本の種苗会社さんは本当に丁寧で、技術もあるんです。良い種・悪い種の選別から始まって、発芽率のいいもので、どんどん世代で残しています。そんな日本の種苗会社さんがそういった海外の野菜の種を出してくれているからこそ、私たち生産者側も、安定してできるのだと思っています。
箱崎:そんな森田さんの「花ズッキーニ」が、世界の舞台で選ばれたそうですね。 北さん:そうなんです。2019年にG20が大阪で開催されましたが、1日目のビジネスランチで、 森田さんの花ズッキーニが届けられ、皆さんに召し上がっていただいたんです。ただ、各国のVIPが食べるので、出荷の時も「何に使う」ということを一切知らされていませんでした。 森田さん:「すごく大きなイベントがあるので、確実に出荷してください」とは言われていて、出荷後に「無事、使われました。G20で」という報告が来ましたね(笑)。おそらく、安全上の関係で教えてもらえなかったのだと思いますが。 箱崎:「G20で使いました」と聞いて、いかがでしたか? 森田さん:もう、単純にびっくりしましたよね。広めようかな? 黙っていようかな? と、一瞬は悩みましたが、今はいい話として広めています。 ――今まで日本で栽培されてこなかった為、育てるノウハウがなかったヨーロッパ野菜。その栽培は苦労の連続だったが、シェフたちの「本場の、あのおいしいヨーロッパ野菜を使いたい……」という声にこたえるため、試行錯誤を繰り返し、素晴らしくおいしいヨーロッパ野菜が完成。現在は、年間約70種類のヨーロッパ野菜が栽培され、約1200軒のレストランでも使われ、食べる機会も増えているので、ぜひ“国産・ヨーロッパ野菜”に注目してみては。