「あまりに無謀で、迷惑」富士山にピクニック並の軽装で弾丸登山、寒さしのぎに山荘へ無断侵入、大量のゴミ…大混雑で世界遺産〝取り消し〟懸念の声も どうすれば?
山梨県警によると、水や食料を持たず、ピクニックに行くような薄手の服装だったという。2人の説明は「とりあえず来た。山頂を目指していた」。あまりの無謀さに、地元の警察官はあきれた。「よく無事に降りてこられたものだ」 静岡県側の富士宮口7合目。山小屋従業員赤池悠平さん(41)は、マナー違反の数々をため息交じりで振り返った。「軽装の外国人が、山荘の発電機のある場所の網戸を勝手に開けて侵入し、暖を取っていた」 雨風をしのごうと、日本人を含む20~30人が山小屋のトイレに入って休憩していたこともあった。注意すると「立ち入り禁止と書いていない」「寒いからしょうがない」と反論されたという。赤池さんはジレンマを明かす。「備えをしていないことが迷惑行為につながる。でも、そういった行為をする人は、そもそも事前に調べたりしない」。行政機関が対策を取るべきだと語る。 「(軽装者を)5合目より上には登らせないようにすること、装備をレンタルすることに力を入れてほしい」
▽「山頂で御来光」にこだわらなくても 静岡県の担当者は、迷惑行為が起きる背景に混雑があると考えている。その上で、伝えたいメッセージがある。 「御来光は、山頂以外でも楽しめます」 美しい日の出は、山小屋や登山ルート上でも見られるのに、多くの人がそれを知らずに山頂に殺到し、その結果、登山道を外れるなどのマナー違反につながっているという。 山頂で御来光を見るには、未明に山小屋を出発し、日の出まで山頂付近の人混みの中で寒さをこらえなければならない。体力的な負担も大きい。 しかし、山小屋の近くで御来光を見る行程にすれば、人混みを避けながら比較的しっかり休んで登頂できる。例えばこんなコースはどうだろう。 (1)初日は、まだ登山道がすいている午前10時ごろに5合目を出る。 (2)日暮れ前に山小屋に到着し、ゆっくり休息する。 (3)翌朝、山小屋の近くで御来光を見る。 (4)それから山頂を目指し、朝日を浴びながら登山を楽しむ。