<高校野球>休息が古豪復活の道標 大阪・八尾 センバツ21世紀枠候補
3月23日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場32校が今月25日、選考委員会で決まる。そのうちの3校は、困難条件克服や地域貢献など他校の模範となるべき要素を選考条件に加えた「21世紀枠」で選ばれる。 【写真で振り返る歴代出場校】 ◇「校旗掲揚第1号」部史に輝く 毎週火曜日、八尾のグラウンドに野球部員の姿はない。自主練習やミーティングもなく、選手たちは進学塾で勉強するなど野球以外に時間を費やす。 スポーツ庁が昨年3月に発表した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」では、平日と土日曜日で休養日を各1日設けるように求めているが、同校では2016年から週1回の休養日を確保している。長田貴史監督(41)は「心のゆとりは必要。野球を頑張るのではなく、野球も頑張るのが基本。社会に出た時、さまざまなことに目を向けられる人材になってほしい」と説明する。西浦謙太主将(2年)は「練習が続いて体力的にきつくなると、練習の質が下がる。休みの前だと追い込める」と、完全休養日の効果を指摘する。 質を高める工夫は他にもある。グラウンドはサッカー部や陸上部など五つの部と共用で、平日に外野まで使えるのは週2回しかなく、時間も1時間半と限られる。だが、短い練習中に何度も選手でミーティングを行うのが特徴だ。西浦は「その場で言った方が効果があり、みんなで課題を共有できる」と強調する。練習内容も主将を中心に選手で考え、選手主体で取り組む。 同校野球部は1915年の創部で、八尾中時代を含めて春6回、夏4回出場。第6回センバツ(29年)で開幕戦に勝ち、この大会から始まった勝利校の校旗掲揚第1号になった。52年夏に甲子園準優勝。戦前からOBが熱心に指導する伝統があり、大阪府の公立校で最多の春夏計16勝につながっている。現在もOB会の若村裕副会長(69)が外部指導員として、練習にほぼ毎回来てノックを打つ。教員の指導者は2人だけのため、大きな存在だ。 PL学園、大阪桐蔭など私学の台頭により、チームは4強入りした59年夏を最後にひのき舞台から遠のいている。選手は入学時、部の歴史が記された冊子を読む。「もう一度、強かった時代を復活させられるようにしたい」と西浦。適度な休息と効果的な練習でこの冬、さらなる成長を目指す。【安田光高】