おもてなし精神、世界一の日本のタクシー運転手 高額請求トラブルで疑わなかった自分に驚き 技術だけでなく思いやりを教える難しさ
さらにさかのぼれば、運転免許を取りたい人間は、自動車教習所に通ってしっかり実技・交通規則を学ばせるという面倒見のよさにも通じます。このような「はじめは学校・大手で経験を積み、後に独立」というお墨付きモデルは中世のギルドを彷彿とさせます。
そのように組織的な人材育成システムが、パーソナルなデジタル人材教育にとって代わられようとしています。さて、この先も「人に優しい」タクシー運転手さんはこの国の伝統として残ってくれるでしょうか。これだけは「過去の話」にならぬよう願いたいものです。
■田中靖浩(たなか・やすひろ) 公認会計士、作家。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て独立開業。会計・経営・歴史分野の執筆・講師、経営コンサルティングなど堅めの仕事から、落語家・講談師との共演、絵本・児童書を手掛けるなど幅広くポップに活躍中。「会計の世界史」(日本経済新聞出版社)などヒット作多数。