【一発アウト】なぜ優秀な若手が入社を辞退するのか?採用担当者が見落とす落とし穴
「あなたの会社はZ世代に嫌がられるような採用活動をしていませんか?」――そう語るのは、ワンキャリア取締役の北野唯我さん。「常に人手不足」「認知度が低い」「内定を辞退されてしまう」「外資系との給与差が開いている」といった多くの採用担当者、経営者の悩みを解決するため、北野さんが執筆したのが、著書『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』です。これまで属人的で全体像が見えなかった採用活動を構造化し、3000社以上の企業の採用支援実績、180万人の求職者のデータに基づいた「新しい採用手法」を紹介した一冊です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して紹介します。 【この記事の画像を見る】 ● なぜ、内定辞退が起こるのか? いい人を採用したい。そのために、採用改善をしていく際のオペレーション上の流れは、大きく次の3段階となる。 母集団形成=集める:いい人材を集めるための施策を行う ↓ クロージング=決める:自社に合う人材を絞り込み、確実に来てもらうための施策を行う(※本書では「選考」もここに含む) ↓ フォローアップ=辞退を防ぐ:内定承諾後の辞退を防ぎ、入社後の活躍を目指した施策を行う 最も大事なのが、これらの改善を行う「優先順位づけ」、つまり何を先にやるかだ。 結論から言うと、「クロージング→フォローアップ→母集団形成」の順番で改善をしていくのがいい。その理由は「成果につながりやすいから」。そして、「取り返すことが難しいから」だ。 当然だが、採用活動の目的は「候補者に入社してもらい、活躍してもらうこと」だ。だから、何よりもまず「クロージング」=内定承諾をもらうことが大事になる。母集団形成やフォローアップは後からの取り返しが可能だが、クロージング時点でのミスを取り返すことは、非常に難しい。「この人が欲しい」と思い入れを持って内定を出した人が他社を選んでしまったら、成果は何も残らないからだ。 もちろん、同時進行で改善を進められればベストだが、優先順位をあえてつけるならこの順番が望ましいだろう。 ● 基準の見直し→優先順位の見直し→手順の見直し では、さらにもう1段階踏み込んで、具体的に「どんな手順」で改善していくべきだろうか? 具体的には、まず次のような「基準の見直し」を行う。 ・内定率、承諾率、歩留まりの適正な数値はいくつなのか? ・どこが課題なのか? ・競合するベンチマーク企業と比較して何が足りないのか? 基準が決まったら、次は施策を洗い出し「優先順位の見直し」を行う。たとえば、内定率に課題があるなら、どのような施策を行うべきなのか。例を挙げよう。 〈内定率に課題がある場合〉 ・面接プロセスの見直し 面接官のトレーニングを実施し、評価基準の統一を図る。面接の回数や形式(個別面接、グループ面接、オンライン面接など)を見直し、候補者にとってより魅力的なプロセスにする。フィードバックを迅速かつ具体的に行い、候補者の不安を軽減する。 ・採用フローの効率化 採用プロセス全体のスピードを上げるために、書類選考から内定までのステップを再評価し、無駄な工程を削減する。採用管理システムを導入し、候補者のデータ管理やコミュニケーションを効率化する。 ・候補者エクスペリエンスの向上 第4章で紹介した通り「候補者エクスペリエンス」とは、「カスタマーエクスペリエンス」の採用版。つまり、候補者が選考の過程でどのような経験をするかだ。具体的には会社説明会やイベントの質を向上させ、企業の魅力をより効果的に伝える。オンボーディングプログラムを強化し、内定後から入社までのフォローアップを徹底する。 ・オファー内容の見直し 報酬パッケージや福利厚生の見直しを行い、競合他社と比較して魅力的なオファーを提供する。フレキシブルな勤務時間やリモートワークのオプションを検討し、候補者の多様なニーズに応える。 ・データに基づく分析と改善 過去の採用データを分析し、内定率が低下する具体的なポイントを特定する。 定期的なアンケートやインタビューを通じて、候補者のフィードバックを収集し、改善点を洗い出す。 これら施策を「課題の重要性」と「実行のしやすさ」の2軸で優先順位づけを行う。課題の重要性が高く、実行しやすいものが最優先となり、重要性が低く実行に時間がかかるものは、優先度が低くなる。 最後に行うのが、「手順の見直し」である。優先度が高い施策を実施するためのフローを設定する。どういう手順で、誰が何を担当するのか? 確認しつつ、見直す。この「基準の見直し」→「優先順位の見直し」→「手順の見直し」のサイクルを、フォローアップと母集団形成でも行う。
北野 唯我