SF決勝後のグリッドでパーティを初開催……発案者の大湯都史樹にその思いを聞く。新規ファン開拓の鍵となるのは「サーキットに来る理由」
広大なサーキットを使ってできることは「たくさんある」
そもそもモータースポーツファンであっても、実際にサーキットに足を運ぶことのハードルは高いと言わざるを得ない。多くのサーキットが山奥にあり、公共交通機関などで気軽に来場することが難しいからだ。シャトルバスを運行したりと一定の対策は取られているが、その対策にも当然限界はあるだろう。 しかしアクセスの悪い場所であっても、サーキットに行く動機、理由付けを強力かつ広範なものにすることができれば、どうだろうか。例えばレース以外のコンテンツが充実していれば、レースファンはレースに興味のない友人も誘いやすくなるだろうし、自家用車がなくとも大勢でレンタカーを借りてまでサーキットに来てくれるかもしれない。 「何せここまで来るんですからね、そもそも。映画館じゃないので」と大湯は言う。 「音や環境のことなどを考えたら、サーキットがこういう場所にしか作れないこともある意味必然だと思います。ただ『これがあるから』『ここに来てでも』という感じで、サーキットに来る理由があることが大切です」 「そのために、この敷地を使ってできることはたくさんあります。場所を考えても音の問題はクリアしているわけで、野外ライブだってやろうと思えばできます。予算の問題などはありますが、できる環境はあります」 「当然メインイベントはレースですが、サーキットに色々な楽しみがある中で、レースも好きになってもらえばいいと思います。今回のイベントはそれの本当に“走り”。満足度は僕の中で低いですが、その“走り”ができたことが何よりだと思っています」
若い人が“イケてる”と思う環境を
また大湯は、ファミリー層だけでなく、もっと若年層にフォーカスしたPRをしていくべきだという考えを持っている。その根底には「若者がブームを作る」という考えがある。 「当然、年配の方などが来やすい環境を作ることも大事ですし、子供たちに来てもらうことも大事ですが、若い人が“イケてる”と思う環境を作らないと、そもそも広まらないです」 大湯はそう語る。 「ブームは若い人から始まりますから。そういった人たちが行きたい要因を作ることがひとつ大事なことです」 消費者の意思決定において、“体験価値”が重要視される昨今。サーキットが持つポテンシャルというのは、我々が思っている以上に大きいのかもしれない。
戎井健一郎
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