フジクラ、30年度に熱対策部品の事業規模倍増目指す。サーバ・自動車向けなど注力
フジクラは2030年度までをめどに熱対策部品の事業規模について、22年度比で2倍への拡大を目指す。同社はサーマルテック事業として半導体などから出る熱を効率的に排出するためなどに使う熱対策部品を手掛ける。機器・装置高性能化に伴い増加する半導体チップなどからの発熱に対応。サーバ・パワー半導体・自動車関連の3領域を注力分野に成長を狙う。またパソコン・ゲーム機用の分野も引き続き重視する。 サーバ関連分野ではスーパーコンピューターやデータセンターなどに関する需要に照準を合わせる。スーパーコンピューター向けで高度な性能・信頼性を確保。そこで磨いた技術力で市場成長が見込まれるデータセンター向けでも競争力を強める。データセンター内の機器は情報通信量増加に伴い半導体の処理性能が向上し熱の発生が増加。対応へ冷却効率が非常に高い液冷式冷却部品のコールドプレートなどを提案する考えだ。高性能な冷却部品で省スペース化を図り機器を薄型化できれば、データセンター1棟当たりの情報処理量を増やせるという。 またデータセンター向けでは封入した液体の気化・液化を利用し熱を運ぶヒートパイプなどにも期待。同社では構造の工夫などで熱輸送性能を大幅向上させたヒートパイプを開発している。 パワー半導体関連分野ではIGBTやインバータなどに関するニーズに対応。産業用の機械・ロボットに関するモータの制御基板向けなどに期待している。モータの小型・高出力化などに伴い流す電流が増え、発熱が増加する見通し。その中でコールドプレートや広範囲に熱を拡散できるベーパチャンバーの高性能品などを提案する。 自動車関連分野では現在、照明周りなどで熱対策部品が使われているが、今後は車載コンピュータECUの基板やモータのインバータなどに関する分野にも注力。ECUでは自動運転の進化など車の高機能化で半導体の性能が向上し、発する熱が増える。またインバータについてはバッテリーEVでは駆動電圧が高くなり、発熱が増加。同社ではヒートパイプやベーパチャンバーで課題解決に寄与する。 またバッテリーEVでは急速充電が求められ使用する電圧が高まることが見込まれる。同社ではその中で充電コネクタにヒートパイプを組み込んで冷却するなどのソリューションも進めたい考えだ。