データが語るマー君の復調気配。その裏に「バックフット」あり
マリナーズ戦(22日・シアトル)に先発したヤンキースの田中将大。3回、完全な失投でマイク・ズニーノに同点ソロを許した後、急にリズムを乱して、この回だけで4点を奪われたが、4回以降、6回でマウンドを降りるまでパーフェクトピッチング。惜しくもサヨナラ負けを喫したものの、9回二死から追いつくなど、チームに粘りを呼び込んだ。 初回の不安も払拭した。今年は、開幕から初回に失点するパターンが目立ち、19試合に先発した段階で、初回の失点は19点(すべて自責)、防御率は9.00だった。しかしながら、ダルビッシュと投げ合った6月23日以降を見ると、 22日の試合も含めて6試合に先発し、初回に失点したのは7月9日のブルーワーズ戦(自責点3)だけ。もはや鬼門とは言えなくなった。 では、何がどう変わったのか。 実は、いくつかのデータをダルビッシュと投げ合った前後で比較すると顕著な傾向が見えてきた。例えば6月22日まで、田中が左打者に対し、4シームを投げて、それが結果につながった場合の被打率は.471である。一方で、23日以降は.167と抑え込んでいる。 23日以降はまだサンプルが少ないが、以下の捕手目線の2つの図は、田中が対左打者に対して4シームをどのコースに投げたかを示している。色が濃ければ濃いほど、そこに一番投げている、ということになる。
まず、図1を見ると、真ん中付近にボールが集まっていることがわかる。これでは被打率の高さも必然か。 しかし、図2を見ると、ほとんど甘いボールはなくなっており、きっちりコントールが出来ている。真っ直ぐを待っている左打者は、多くのケースで外角高めのボール球を振らされることになるというわけだ。
スライダーの配球も変わった。 図3と図4は、左打者に対して、スライダーをどこに投げたかを示している。 まず、6月22日まではどうかといえば(図3)、外角低めに集めてはいるものの、やや偏りが大きい。一方で、23日以降(図4)は、外角低めに加えて、左打者の内角低めーー後ろ足に向かって落ちていく、いわゆる“バックフット”と呼ばれるスライダーを多投するようになっていることが分かる。