北米サマーシーズンを賑わすアニメ頂上決戦!「インサイド・ヘッド」vsミニオン、9年ぶりの激突のゆくえは
サマーシーズンの主役として快走を続けるディズニー&ピクサーの『インサイド・ヘッド2』(8月1日日本公開)の“4週連続V”を阻止したのは、アメリカ独立記念日の祝日にあわせてその前日水曜日に封切られたイルミネーション・エンターテインメントの『怪盗グルーのミニオン超変身』(7月19日日本公開)。先週末(7月5日から7月7日)の北米興収ランキングは、この両者の戦いに絞ってお伝えしていこう。 【写真を見る】アニメ映画の北米歴代最高記録まであと6000万ドル…『インサイド・ヘッド2』にミニオンが襲いかかる まずは「怪盗グルー」から。4030館で公開を迎えた『怪盗グルーのミニオン超変身』は、初日(水曜日)興収2720万ドル、2日目(祝日)は同2039万ドルを記録。ランキングの対象となる週末(金・土・日)3日間では同7500万ドルを記録しており、2024年公開作としては第4位のオープニング成績。これらを合わせた初日からの5日間興収は1億2260万ドルということになる。 これまでの「怪盗グルー」フランチャイズは、まだイルミネーションの存在も周知されておらずミニオンの人気も確立していなかった第1作(2010年)が北米累計興収2億5000万ドルを記録しており、以後に制作された「怪盗グルー」シリーズ、ならびにスピンオフに当たる「ミニオンズ」シリーズはすべて第1作を上回るメガヒット。とりわけ「ミニオンズ」シリーズの人気が顕著であり、同シリーズの2本はいずれもオープニング興収1億ドルを突破。『ミニオンズ フィーバー』(22)はフランチャイズの最高値となる興収3億7000万ドルを記録している。 今作のオープニング成績(週末3日間)を同フランチャイズの過去作と比較すると、「ミニオンズ」2作と『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)に次ぐ第4位。イルミネーションの新作が独立記念日タイミングで公開されるのは定番ではあるが、今作のように水曜日公開となるのは『~ミニオン危機一発』以来。同作は初日興収3500万ドル、独立記念日当日が2454万ドル、週末3日間は8351万ドルの5日間累計1億4300万ドルを記録しているので、今作はその8割強。初日の興収に大きな差が出ている点は、新作への期待値が落ち着いてきたと見るべきか、はたまたシリーズの安定感が強まってきたと捉えるべきか。 いずれにせよ低予算で高収益を上げ、観客からも批評家からも“まずまず”の高評価を得ることがイルミネーション作品の定石。しかし今作の製作費は1億ドルと、イルミネーション作品としては『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23)と並ぶ高額。また、ロッテン・トマトによれば観客からは概ね好評である反面、批評家からの好意的評価の割合は51%とシリーズワースト。はて、この評価が興収面にどのような影響をもたらすのだろうか。 対する『インサイド・ヘッド2』は、週末3日間で興収3000万ドルを記録し、週末時点での北米累計興収は5億3413万ドルに。平日に入ってからも順調に興収を積み上げ、7月10日の水曜日には『ライオン・キング』(19)を上回り北米歴代興収ランキングの16位に浮上。翌11日の木曜日には『バービー』(23)より1日早く、公開28日目という歴代8位のスピードで、史上16本目の北米興収5億5000万ドルに到達する見込みだ。 ちなみに北米歴代興収ランキングの上位、15位には『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』、14位には『インクレディブル・ファミリー』(18)が待ち受けており、その差はそれぞれ約3000万ドルずつ。前者が北米興収5億5000万ドルに到達したのは公開48日目、後者は同37日目。アニメ映画北米歴代No. 1の称号はすぐそこまで迫っている。なお全世界興収では12億6700万ドルとなっており、同ランキングでは現在22位。『アナと雪の女王』(13)超えが目前だ。 「インサイド・ヘッド」と「怪盗グルー」、実はこの両者は9年前にもしのぎを削っている。前作『インサイド・ヘッド』(15)が公開4週目を迎えるタイミングで『ミニオンズ』(15)が公開されており、その際には『ジュラシック・ワールド』(15)という強力なライバルもまじえた三つ巴状態。公開3週目にようやく『ジュラシック』を破って首位に立った『インサイド・ヘッド』を、翌週に『ミニオンズ』が撃破していたのだ。 両者が相見えた週末時点での『インサイド・ヘッド』の累計興収は、今作同時点のおよそ半分となる2億8400万ドル。一方、『ミニオンズ』の週末3日間興収は1億1500万ドルと、今作の週末3日間対比150%。それでも最終的に前者は3億5600万ドル、後者が3億3600万ドルと接戦ながらも『インサイド・ヘッド』に軍配が上がっていた。そうなると9年ぶりの再戦は、『インサイド・ヘッド2』が前回以上の圧勝を飾ると考えて差し支えないだろう。 文/久保田 和馬