100年以上前の子どもの遊びを伝えるすてきな1枚、鬼ごっこの一種「ことろことろ」
1914(大正3)年10月号の巻末におまけのように掲載さていた
立派な屋敷の庭で笑顔の女の子たちが列をつくり、その前で向き合った二人が両手を広げている。1914(大正3)年10月号に掲載された1枚で、楽しそうな光景に思わず目を留めた。 ギャラリー:ナショナル ジオグラフィックが見た日本の100年 いつどこで撮影されたのだろうか。そう思って、写真の説明に目を走らせたが、「私についてきて」と一言あるだけで、撮影の時期や場所など、詳しい情報が何もない。しかも、特集の中の1枚というわけではなく、目次にもなく、同号の巻末におまけのように掲載されている。 せめて何をしているのかを知りたいと思って調べると、どうやらこれは、鬼ごっこの一種である「ことろことろ」をして遊んでいる場面だとわかった。列と向き合った右側の少女が鬼で、制限時間内に列の最後尾の子にタッチするか、列が途中で切れたら、鬼の勝ち。列の子たちはタッチされずに逃げ切れば勝ちだ。 実はこの写真のほかにも、同号の巻末に一緒に掲載されている写真が5枚ある。朝鮮の風景2枚、日本の相合い傘のカップル、四国の尾長鶏、そして当時のビルマでコメを運ぶ労働者だ。アジアという以外、特に共通点を見いだせない。なぜこのような形で掲載されたのか。謎はたくさんあるけれど、100年以上前の子どもの遊びを伝えるすてきな1枚だ。 ※この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2024年10月号に掲載されたものです。