<エンタメノート>若手落語家が鹿芝居と新喜劇に挑戦 真面目に稽古して笑わせる
作家や新聞記者が舞台にたった芝居は文士劇、落語家が余芸として演じるのは噺家(はなしか)だから鹿芝居と呼ばれる。落語協会の若手を中心にした鹿芝居と落語芸術協会の若手による新喜劇が上演される。落語家の芝居だけに、たっぷり笑わせてくれそうだ。 ■ 林家はな平さんは「令和鹿芝居」の演出、脚本を担当してきた。「柳家緑也さん、来秋に真打ちに昇進する金原亭馬久さんと、芝居好きが集まって始めました。歌舞伎座へ行って坂東彌十郎さんに相談して、お弟子さんに教わることができました。彌十郎さんは『昔はもっと噺家と役者さんの交流があったんだよね』と話されてました」 この役ならこの人だろうと声がけして仲間を増やしてきた。「落語家は高座では一人、孤独じゃないですか。仲間が集まって演じた達成感は、落語にはないもので、それで、やめられなくなっています。みんなでなにかやりたいんですよね。今回は10人以上が集まりました」 これまでは白浪五人男や仮名手本忠臣蔵など歌舞伎をもとにした作品だったが、今回は落語の百年目をもとにした作品。はな平さんは言う。「けっこうコミカルに作りました。主役の番頭次兵衛は、今年真打ちに昇進した講談の宝井琴凌さん。柳亭市童さんの花魁揚巻(おいらんあげまき)は、怒る人もいるかもしれません(笑い)」 「令和鹿芝居~百年目浮世番頭の巻」は30日午後3時と午後7時、東京都江東区の深川江戸資料館小劇場。 ■ 落語芸術協会(芸協)の若手二ツ目10人のユニット「芸協カデンツァ」は、桂米助(ヨネスケ)さんら先輩の助演を得て「芸協カデンツァ新喜劇」を12月6~10日、浅草演芸ホール昼の部(午前11時40分~午後4時30分)の最後に公演する。 寄席での公演実現のきっかけは米助さん。吉本新喜劇出身の笑福亭希光さんによると、「6月に開いた僕らの新喜劇を米助師匠が見に来てくださり、ユーチューブで紹介してくれました」。米助さんは「面白くて大ウケなんで、寄席でやったらいいと。若い人にも見てもらって寄席を盛り上げたい」と話す。 米助さんは連日出演するほか、三遊亭小遊三さん、笑福亭鶴光さん、芸協会長の春風亭昇太さんらも日替わりでゲスト出演する。 ユニット名の由来は、「自由な即興的歌唱・演奏」という意味の音楽用語カデンツァと、芸協事務局が入る新宿区の「芸能花伝舎」をかけて名付けた。来春には、瀧川鯉津(こいつ)さんと立川幸之進さんが真打ちに昇進する。【油井雅和】