【2024マン島TTレース】最強ライダー決定戦「シニアTT」は28歳トッド選手(BMW M1000R)が初勝利、平均速度は213.7km/h!
レース最終日にはレジェンドライダーやBMWのイベントが予定されていたが、一部は雨天中止に
2024年のマン島TTは、天候不順によってレーススケジュールの遅れが多発。本来ならば最終日の6月8日はシニアTTのみが行われる予定だったが、順延となっていたスーパースポーツTT決勝レース2とスーパーツインTT決勝レース2が行われたほか(いずれも3周を2周に短縮)、『ラッター・レガシー・パレード』と『BMWクラシック85周年パレードラップ』も予定されていた。 【画像4点】マン島レース最強決定戦「シニアTT」ホンダCBR1000RRとBMW M1000RRがトップを競う! BMWのパレードラップは最終日までに2度、天候不順により延期されてきたのだが、この日もキャンセルとなってしまった。このパレードは、1939年のマン島TTのシニアTTで優勝したBMW Type 255 RS500(スーパーチャージャー付き空冷水平対向500ccエンジン搭載のレーサーで、ドイツ人ライダーのゲオルグ・マイヤーがマン島TTで初めて外国人として優勝した記念すべきマシン)を走らせるはずだった。 『ラッター・レガシー・パレード』は、現役トップライダーであるマイケル・ラッター選手の父、トニー・ラッター(故人)の偉業を称えるもので、彼のTTデビュー60年の節目として行われた。トニー・ラッターは、1981年から4年連続でTT-F2世界選手権を連覇。マン島TTは1965年から1991年までの26年間も参戦し、7回の勝利のうち、ドゥカティ レーシングパンタTT2で4回の勝利を獲得している。 パレードラップでは、息子のマイケル・ラッター選手がレーシングパンタTT2を走らせた。また、マイケルがマン島TTで走らせていたホンダ RC213V-Sをジョン・マクギネス選手が、トニーがヤマハ時代に乗っていたTZ350をイアン・ロッカー選手が走らせ、スネーフェルマウンテンコースを1周したのだった。
シニアTTはダンロップ選手 vs ヒックマン選手の戦いかと思われたが……
さて、マン島TTレース最大の注目クラスであるシニアTTだが、レーススケジュール短縮のため本来6周のレースが4周で行われた。注目はマイケル・ダンロップ選手(ホンダ CBR1000RR-R)がTT最多勝利数のさらなる更新──30勝目を挙げることができるか、はたまたピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)がシニアTTの3連覇を達成できるか、だった。 編集部注:シニアTTとはマン島TTレースにおける最高峰クラス。今シーズンで活躍したライダーたちが参戦し、多くの選手は戦闘力の高いスーパーバイクTTのマシン(スーパーバイク世界選手権に準じた市販車ベースの車両)を使用する。 しかしレースは1周目、トップタイムで走っていたダンロップ選手がリタイヤ。2周目にはヒックマン選手がコース中盤のジンジャーホールでクラッシュしてリタイヤ(本人に怪我はないそうだ)。トップ争いのふたりが早々にレースから離脱したことで、浮上してきたのは2秒差でヒックマン選手を追いかけていたデイビー・トッド選手(BMW M1000RR)だった。 トッド選手は2周目、3周目と徐々に後続とのタイム差を広げていき、ファイナルラップも調子を崩すことなくそのままフィニッシュ。シニアTT初勝利を挙げた。 「スーパーバイクTTでは2位、スーパーストックTTで初めてマン島TTで勝てたから調子がよかったし、優勝争いに加われると思ってはいた。でもだ実感がわいてこないよ。ミルウォーキーBMWは素晴らしいバイクを作ってくれたし、チームに感謝しています。今から来年のTTが楽しみだ」 レース終了後にそう語ったデイビー・トッド選手は、1995年生まれの28歳。マン島TTは2018年にデビューし、シニアTTで9位に入る活躍を見せた。それ以来、シングルフィニッシャーの常連となり、初の表彰台は2022年スーパーストックTTの3位(マシンはホンダ CBR1000RR SP)。 今回はBMWにスイッチしてスーパーバイクTTで2位、さらにスーパーストックTTでは初優勝。また、スーパースポーツTTではドゥカティ パニガーレV2を走らせて注目を浴び、レース1で2位、レース2では3位と好調だった。そして有終の美となるシニアTTで優勝と、彼にとって2024年は最高のTTとなった。 なお、シニアTTの2位にはジョシュ・ブルックス選手(BMW M1000RR)、3位にはディーン・ハリソン選手(ホンダ CBR1000RR SP)が入った。現役選手ではマイケル・ダンロップ選手に次いで通算勝利数2位となる23勝を挙げているベテランライダー、ジョン・マクギネス選手(ホンダ CBR1000RR SP)はその健在ぶりを発揮して5位に入賞している。