嘘をついている限り「孤独」ーーインスタもエゴサもしない、佐藤健の省エネな生き方
ネガティブなコメントに目を通す暇もないほど、仕事に集中した。関わる作品に、その都度ベストを尽くす。それが、佐藤の生き方だ。 「ずっと忙しく仕事をさせてもらったおかげで、余計なことを考えることも、誰かの言葉に右往左往することもなくて。何を言われようが、『今、自分の芝居をどれだけいいものにできるか、それだけを考えよう』っていうふうに思えた。そもそも僕は、自分のことを率先して話すタイプじゃないんですよ。だからTwitterとかインスタとか、たぶん向いてないんです。友達と話してても聞き役になることが多くて、愚痴を言うとか、しょっちゅう近況を話すとか、そういうことはないかな」
嘘をついている限りは「孤独」
周囲を威嚇する鋭い目つき。頑なだった青年が少しずつ心を開き、ふと笑顔をこぼす。秋に公開予定の映画『護られなかった者たちへ』で演じた主人公は、まさにはまり役だった。コロナ禍において難産の末に生まれた作品として、思いもひとしおだ。 「僕が演じた利根は、周り全員を敵だと思っているような人。不器用で、熱くなったら止められなくて。でも一本芯が入っていて、自分にとっての正義を強く持っている。境遇は全く違うけど、通じ合うものがありました。コロナで撮影が思うように進まなくて、どうなるのかなと不安もあったけど、最近は、この生活も悪くないなと思ってます。Netflixでドラマや映画を観たり、本を読んだり、謎解きしたり、やりたかったことができている。一人でいることは嫌いじゃないので」
現在の生活のなかで「孤独」を感じることはあるのだろうか。 「僕は家族や友達に恵まれて育ちました。でも学生の頃、友達と仲良くしていても、なんか本音で言い合わない、つまり、何か隠しごとをしたり、嘘をついたりしている限りは、ずっと『孤独』なんじゃないかな、と思ったことがあったんです。そういう意味で、すごく孤独を感じた。やっぱり本音で話し合えない限り、人って孤独なんだなあって。そこに気づいてからは、友達との向き合いかたがちょっと変わりました。だから、本当に友達だと思える人には、絶対に嘘をつきたくない。本当のことを話そうと決めてます。今は物理的には、思うように人と会うことができないかもしれないけど、孤独を感じることはないかな」 実際に人が周りにいても、孤独になり得る。むしろ、そのほうが寂しい。その寂しさを解決する方法が、「全部を打ち明ける」ことなのだと佐藤は言った。 「友達は、同業者だったり、別の仕事をしている人だったり。本当に心をゆるして付き合える相手の存在は、ありがたいですよね」 本人の公式YouTubeでは、千鳥・ノブや神木隆之介など、友人たちと撮影した動画も公開している。そこでは、演技で見せる緊張感とは対極の、リラックスした姿が垣間見える。 自分自身の性格をどう認識しているかと問うと、苦笑しながら一言「省エネ」と答えた。