いよいよ今週末、北陸新幹線開業!東京から最短3時間以内に。最もアツい街、福井の絶対に訪れるべき名建築は
福井県年縞博物館〈内藤廣〉 /福井市
年縞とは「長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物」のこと。この博物館は三方五湖の1つ、水月湖で発見された約7万年前の堆積地層である年縞を展示する博物館として、若狭三方縄文博物館の隣接地に2018年にオープンしました。 美術館や博物館を数多く手掛ける建築家の内藤廣によって設計されました。45mの年縞を展示するために考えられた横長の展示棟と、その両脇に平屋建ての研究棟を配置した3棟で構成。特に屋根の形状が独特で、年縞の層を連想させるような波打った切妻屋根が特徴的です。1階をピロティからは奥方に湖面が望め、2階には年縞の実物資料を展示。内装材には福井県産の杉材がふんだんに使われるなど、土地との調和性が感じられます。 福井県三方上中郡若狭町鳥浜122-12-1 縄文ロマンパーク内
一乗谷朝倉氏遺跡博物館〈内藤廣〉/福井市
戦国時代の一時期、栄華を極めた朝倉氏に関する遺跡や歴史資料を展示する博物館。大小の切妻屋根が連続したシルエットが印象的な建物は、1階をRC造、2階を鉄骨造で構成。計画中に発見された大規模な石敷遺構を展示するために、2階の構造形式の変更を余儀なくされるというハプニングも話題になりました。 朝倉館原寸再現室は、木ルーバーの水平天井面を設けて柔らかな光を内部に取り込み、県産杉材で壁と天井を覆うなど再現建物と見事に調和。日暮れ時に建物を外から見ると、ガラスカーテンウォール越しに再現建物が浮かび上がり、日中とは異なる幻想的な風景に。朝倉氏の栄枯盛衰を演出しているようにも見えます。 福井県福井市安波賀中島町8-10
タケフナイフビレッジ共同工房・本館〈毛綱 毅曠〉新館〈長田直之〉 /越前市
約700年もの歴史を誇る越前打刃物の伝統と職人たちの思いを伝えるために、13社の刃物会社が集まる共同工房として計画され、資料館、ショップ、見学工房からなる施設です。奇才建築家として知られる毛綱毅曠(もづな・きこう)が設計。前面の広場とコルゲートパイプでつくられた円筒形の神殿、劇場化された作業工房を、階段やスロープなどが貫入し、臨場感のある建築になっています。 また新館の設計は建築家・長田直之が担当。毛綱の建築と一体となるようなランドスケープの中に、正三角形の断面をもつ2つの空間が接合され、光に溢れたショップをはじめ、工房や展示室が設けられています。
北陸新幹線の延伸で注目が集まる福井県。ここで出逢う名建築の数々には、海や山に囲まれた自然の恩恵への感謝のみならず、歴史や文化を継承しつつ、次世代へとつながる新たなカルチャーやコミュニティーの創出を期する人々の思いが宿っているようにも感じられます。身近になった北陸・福井へ。その魅力を内包するかのような、存在感を放つ名建築を巡る旅に出かけてみてはいかがでしょうか。