グフとドムが並び立つ、伝説のジオラマ“砂漠の駐屯地”をオマージュ「立ち小便するジオン兵も忠実に再現しています」
“推し活”を応援するトレンドメディア「Fandomplus」では、編集部が衝撃を受けた“推しプラモデル”を連載で紹介していく。本稿では、砂漠の駐屯地に佇むグフやドムのジオラマを製作。SNSに投稿、話題になったモデラー・スギモトカステン(@kuromedakaf14)さんにインタビューを実施。製作にいたる経緯や、製作過程で最も苦労したポイント、この作品を通じて学んだことなどを振り返ってもらった。 【写真を見る】木陰で立ち小便しているジオン兵もフィギュアで再現 ■ジオン兵や武器、支援車輌なども手作業で製作 ――製作過程でもっとも難しかった部分は何でしたか? また、それをどのように乗り越えましたか? 【スギモトカステン】月刊ホビージャパンに掲載されていた、川口名人のジオラマ「ZION´S砂漠の駐屯地」のオマージュなのですが、とにかく資料が少なくて。モビルスーツ以外のほとんどがフルスクラッチだったところですね。そんななか、思わぬ効果を発揮したのがスマホのカメラでした。今まで解らなかった部分を拡大表示しつつ、スクリーンショットを撮って、必要な資料を増やしていったんです。その甲斐あって、これまで見落としていた部分がわかるようになり、新しい発見もたくさんあったりして。特に強化バーニアグフの足周りを整備しているジオン兵などは雰囲気が出たんじゃないかと思います。それでも確認できなかった部分は、自分なりに「こうだったんだろう」と解釈して製作していきました。 あと難しかった部分は、この作品のいちばんの特徴でもあるグフとドムのランドセルの製作です。グフはプラ板をベースに製作し、ドムはタミヤエポキシパテをベースにして作成しました。佇んでいる機体のほか、サムソン・トレーラー用にも1機ずつ用意して。ロケットランチャーもそうですが、共通のパーツが必要なところはシリコンで型取りして、レジン複製をすることで再現しています。 ――今回の製作において、もっとも楽しかった部分は何でしたか? 【スギモトカステン】「砂漠の駐屯地」という大きなジオラマなので、モビルスーツだけでなく多くのジオン兵や武器、支援車輌なども製作しました。高所作業用クレーン車と電源供給車はプラ板によるフルスクラッチで、ドムにサイズを合わせて作り上げたものになります。弾薬輸送車やロケットランチャーなどは脇役ですが、主役のモビルスーツを引き立てるうえで重要な存在ですので、そうした小物作りに取り組む時間も楽しかったですね。 ――この作品のなかで特に気に入っているポイントはどこですか? 【スギモトカステン】今回はザク、グフ、ドムを製作しましたが、デカールは使用せず、すべてラッカーで手書きマーキングをしたのがこだわりポイントです。ジオンマークや部隊章(第8SS騎兵師団[フロリアン・ガイエル])などの難しい部分は、シャープペンで下書きをしてからマーキングをして。自分でいうのも何ですが、手書きならではの味が出ていて、なかなかいい感じに仕上がったんじゃないかと思っています。 それともう一点、随所に配置したジオン兵たちも注目していただきたいポイントです。ガンプラに付属しているのものに加え、アメリカ軍やドイツ軍のフィギュアを加工してジオン兵風に仕上げたりして。特に見ていただきたいのは、木陰で立ち小便をしている兵士たちですね。これがないと完全再現にならないのでちゃんと作っています。 ――この作品を通じて、ジオラマ製作における新しい発見や学びはありましたか? 【スギモトカステン】今回は川口名人の伝説のジオラマのオマージュでしたが、一つの作例をこんなに何度も観察して、隅々まで研究するというのは初めての経験でした。その過程で「ジオラマのどの部分を切り取っても、それぞれに見せ場があること」や「小さなスケールでもフィギュアや小物を多数そろえることで物語性を生み出せること」などに気づけたのは大きな収穫でしたね。「見ていただいた方に物語が伝わるような作品づくり」を念頭に置きつつ、この次は自分自身のオリジナルジオラマに挑戦しようと思います。 (C)創通・サンライズ 取材・文=ソムタム田井