会話で大事なのは「テンポ」…相手との距離を深められる人とそうでない人の決定的な差
普段の会話で求められるテンポとは?
今の社会はSNSを筆頭に、さほど関係が濃くない人とも大量のコミュニケーションをとることが日常となっています。 そこでは、会話の深さよりも、テンポに乗っていくことが求められます。 私の授業の例からも、実は会話というものは、その「意味」よりも「テンポ」が果たす役割が大きいことがわかります。何を話すか、ではなく、テンポよく話すこと。 複数の人とポンポンとテンポよく話を回して成立させるという面では、現代の会話は山手線ゲームに似ています。中身よりも、リズムを維持することが最優先になっているのです。 しかし、相手とゆったりとした時間の中で話をすることは、感情をやりとりするうえでは、よいことです。 本来の会話のあり方としては、双方がじっくりと考え、内容のあるやりとりをするのが正道です。私自身、会話は深いほうがよいと考えていますので、相手に考える時間が必要であればそれを待ちます。 言葉が出る。さらに考える。相手に返す。そんなゆっくりした会話ができる間柄こそが、本当の信頼関係だと思っています。 もしそんなテンポで会話ができる相手がいたら、それは貴重なことです。 大事に深めていくとよいと思います。
自分のスタイルを見つけて話そう
話し上手な人がいて、聞き上手な人がいる。そんなふうに、得意なコミュニケーションのスタイルは、人それぞれです。 たとえば、戦場カメラマンの渡部陽一さんは、とてもゆっくり話します。彼はもともと話すスピードはここまでゆっくりではなかったそうです。しかし言葉が通じない地域に行ったとき、正確に、ゆっくりと、わかりやすく伝えることを心がけていた結果、現在のスピードになったそうです。 今はそれが渡部さんのスタイルとして認識されています。 先ほどお話ししたように、今の社会は、会話のスピードがどんどん速くなってきています。 しかし親しい間柄であったり、2~3人の少人数であれば、たとえ話しぶりが流暢でなくても、自分のスタイルを変えずに会話をすることができます。 一例を挙げると、合理的に話したがるタイプの人は、すべてを論理的に説明しようとしすぎて堅苦しい言い方になることがあります。 でも、それが自分のスタイルだと相手に理解してもらえていれば、「頭が固くて小難しい理屈を言う、冷たい人」などと思われることなく、「そうはいっても、ちゃんと仕事をする人だから」と評価されます。 初対面で「この人、無口だな」と思われても、だんだんと慣れてくると「ああ、単に無口なのではなくて、無駄なことを言わない人なんだ」とわかってもらえます。話すことがあればちゃんと話す人なんだな、と、相手に理解してもらえる段階が必要なのです。