反・中国共産党の勝利も習近平の中台統一の野望は加速!! これから中国が台湾に仕掛ける苛烈いやがらせの中身
さらには、昨年末に台湾で話題になった中学生同士の殺人事件について、死刑に消極的な蔡英文(さいえいぶん)政権の責任を問う主張、総統候補である頼清徳の実家の違法建築疑惑、知名度の高い美人女性候補の賴品妤(らいひんよ)が立法院(国会に相当)選挙の活動で道路渋滞を引き起こした、といった民進党のイメージダウンを図る情報拡散も多数なされている。 もっとも、これらの批判は野党の国民党や民衆党も行なっており、言説それ自体は民主主義国家としてダメな内容ではない。最大の問題は、これらの文章が中国の生成AIによって作られ、拡散されている可能性が高いことだ。 台湾AIラボによると、工作が疑われる投稿の多くは、同一アカウントによる多数の「コピペ爆撃」や、複数のプラットフォームに同内容が横断的に貼りつけられたりしたものだという。その発信源をたどると、例えばフェイスブックの場合、わずか数個のアカウントに行き着く。 「蔡英文の公式フェイスブックページに寄せられるコメントの3分の1は、こうした工作アカウントの投稿です」 トゥはそう説明する。工作アカウントは、政治イベント前に新規に大量に作成される、活発にポストを繰り返すときとピタリと沈黙するときの波が大きいなど、特徴的な挙動がある。 時には投稿文に、台湾では使われない字体(中国大陸の簡体字)が交じることもある。投稿が突然英語に切り替わり、アメリカのバイデン政権を批判することも多い。 「(中国による)ネット工作は以前から存在しましたが、20年のコロナ禍を境に大きく進歩しました」(トゥ) AI技術が長足の進歩を遂げた時期と一致する。当時は台湾製ワクチン「高端疫苗」への疑念をあおるデマや、世界最大の半導体企業のTSMCが台湾を見捨てて移転するというデマなど、各種の怪しげな情報が発信された。 工作は動画にも及ぶ。蔡英文政権がインド人労働者の受け入れを検討した際は、「蔡英文のせいでレイプが増える」という扇動的な動画が多数、TikTokにバラまかれた。トゥは言う。 「目的は社会に混乱と分断をつくり出すこと。そして人々に、民主主義体制への疑念を深めさせることにあります」 これは今後も継続的に進む戦略だろう。