「野球を辞める時まで引退という言葉を使ってはダメ」関メディベースボール学院総監督・井戸伸年氏
~野球への思いを素直に表現しよう
井戸氏は結果(=勝利)と共に育成を重視する。関メディ中等部は通過点で、選手が甲子園出場できる可能性を高めることが最大ミッションと捉えている。 「今夏、関メディOBでは7人が甲子園のベンチに入ります。甲子園出場は人生に大きなプラスとなります。大学や社会人、そしてプロなど次のカテゴリーでも野球を続けられる可能性が大きくなる。野球を辞めても大きなアドバンテージになるはずです」 「甲子園出場の可能性がある高校を選手に紹介、推薦します。先方から求められるのはリーダーや柱になりうる選手で、主将候補や各学年のリーダータイプです。今年の3年生は野球の実力はありますが、今のままではコミュニケーション力が少し厳しいと感じます」 「高校へ進み監督やコーチとの対話ができることで、成長できて戦力にもなれる。可能にする方法はいくつもある」と確信している。 「会話や対話が苦手なら野球への思いを素直に表現すれば良い。だから選手権前に、『周囲に気持ちが見える形のプレーをしよう』と伝えました。賛否両論が多いヘッドスライディングを選手が多用したのもそのためです」
良い例として挙げてくれたのは、2年生ながら神奈川・東海大相模の四番として甲子園出場するOB金本貫汰のことだった。 「中学時代から打てなかった時によく泣きました。野球への純粋な思いが強いので感情が溢れてしまう。1学年上の主将は関メディ卒の才田和空(わく)です。才田や相模関係者の皆さんが、金本の実力と純粋な人間性を理解して受け入れてくれているから伸びているのだと思います」 井戸氏が選手の進路を考える際には個々の性格を最重視するという。最終的には選手自身の意思を尊重するが、その前段階では環境に適応できるかを吟味して選手たちに伝える。 「1人でもやっていけるか。知っている先輩や同級生がいれば環境に適応できるのか。それぞれのタイプがあるので、ここを見間違えば失敗します。金本は相模に行って本当に良かったと思います」