廣岡達朗コラム「今の球界は一、二軍の区別がまるでない 日本は日本のスタイルでやればいい」
ナアナアの関係にならないためにも
阪神の話題に戻ろう。 かつて阪神の監督だった中村勝広は「関西の後援者から食事に誘われたら断れない」とボヤいていた。一度優勝したら後援者からの誘いが増加。その結果、練習量が足りなくなる。だから阪神は歴史上、連覇ができなかったのだ。 岡田彰布監督は投手コーチが中継ぎ投手を用意させていなかったことや、三塁コーチの判断ミスを試合後のコメントで叱責していた。現在のコーチ陣は岡田が1回目の政権で2005年にリーグ優勝した際の主力メンバーを中心に固めている。 私が最近思うのは、監督が組閣をする場合、同一チームの出身者を集めたらよくないということだ。やはり他球団で生まれ育った優勝経験のあるコーチを1人でも2人でも置かないとナアナアな関係になる。 何度も言うが、ただ一生懸命にやるのと勝つために一生懸命にやるのは違う。DeNAの三浦大輔監督にもそのことを分かってほしい。 巨人の阿部慎之助監督は根気がない。正しいことを言えば、すぐに選手ができると思っている。それは大間違いだ。体が覚えるには何年も時間がかかる。最初に彼を見たときには前監督より数段良いと思ったが、最近は投手との相性の良しあしでオーダーを組む。これではいけない。 広島は球団に金がないため余計な助っ人に頼らないのがいい。外国人は契約最終年にガ然目の色を変える。3年契約した途端にヤクルトのサンタナは欠場。見るべき人間が分かっていないからこうなるのだ。 ●廣岡達朗(ひろおか・たつろう) 1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。 『週刊ベースボール』2024年7月22日号(7月10日発売)より 写真=BBM
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