埼玉平成が開智未来に5-0で快勝!途中出場ながら得点の1年生コンビには指揮官もご満悦
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選は10月13日、昨年より6校多い54校が参加して決勝トーナメントが開幕。1回戦23試合が行われた。インターハイ(総体)県予選を制し、本大会でも初優勝した昌平は唯一3回戦から登場し、準優勝の西武台など総体県予選ベスト8のシード勢は、10月20日の2回戦が初戦となる。 【フォトギャラリー】埼玉平成 vs 開智未来 総体県予選ベスト16で県2部リーグの埼玉平成は、8月の1次予選を勝ち上がった開智未来に5-0で快勝し、2回戦で本庄第一と対戦することになった。 昨年の関東高校大会予選で準優勝し、本大会でも1勝した当時のレギュラーを3人残す埼玉平成は、戦況を見極めながら落ち着いてボールを回した。佐藤快琉(3年)が昨年から得意の左MFで軽快にプレーすれば、右MF中里栞斗(3年)はスピード豊かにサイドを突破した。 しかしボールを握り、攻め込む回数は圧倒的に多かったが、CB田辺悠樹(3年)を中心に5バック気味で応戦する開智未来の忠実で粘り強い守りに苦戦。なかなか決定的な崩しの形をつくれないでいた。 30分に1トップの伊藤岳(3年)が、ボランチ佐久間亮(3年)の右クロスを合わせたがDFに当たり、31分には主将で昨季からCBを務める落合楓(3年)が、右CKのボールをヘッドで捕らえたが、惜しくも左ポストをかすめた。39分に右SB菅野健蔵(3年)の決定打が、GK神崎拓実(3年)の好守に防御されたが、直後に先制点となる決勝ゴールが生まれた。 前半終了間際の39分、DFにマークされていた伊藤が落合の左からの最終パスを上手に流し込んで先手を取った。「前半は守備を固められて思うようにいきませんでしたが、ひとつのチャンスを決め切るのが自分の強み。ゴールに向かう姿勢を常に持ち続けています」とエースは胸を張った。 後半開始直後に奪った2点目が大きく、ここから埼玉平成が主導権を握り続けた。3分に佐久間が倒されてPKを獲得すると、佐藤がGKの逆を突いて左隅に突き刺した。 20分からの2分間で4人を入れ替えたが、この交代も攻撃を増強させたる一因となった。21分の左CKでは、落合がファーサイドから目の覚めるような左足ボレーをたたき込む。30分には交代出場したFW中聖歩(1年)が、右クロスのこぼれ球を拾って左足でゲット。36分の5点目も、中から球を預かった菅野の右クロスを途中出場のFW柳田翔(1年)が決めたものだ。 開智未来は後半に入ると疲労の色がにじみ始め、ボールへの寄せで出足の一歩が遅れてしまった。80分を通じてのビッグチャンスはなく、前半25分に田辺が抜群の推進力で最後方から攻め上がって放ったシュートは惜しかったが、攻守ともに力負けした格好だ。 埼玉平成の浦田尚希監督は「相手の情報がほとんどないだけに、不気味なチームでした。GKがいいと聞いていたし、前半はプレスが厳しくて崩せなかった。きつかったですね」とまずは相手の健闘をたたえた。 後半半ばに2人の1年生を送り込み、そろって結果を出したことには満足そうだ。「後半の途中からは相手の足も止まり、空いたスペースを上手に活用してくれました」と指揮官は笑顔で振り返った。 トップチームの公式戦デビューでいきなり初ゴールをものにした中は、「(出場を)言われた時は緊張で頭が真っ白になりました。ピッチに入っても足が重かったけど、ゴールを決めたら緊張もほぐれました」と1年生らしく初々しい言葉を発した。 183センチの左利きの大型FWは技術が高く、軽やかなドリブルを身に付ける。「相手の守備をドリブルで崩してゴール前まで運び、そこから仲間の得点をアシストしたり、自分で決めるプレーが持ち味です。これからもっとチームの勝利に貢献できる選手になりたい」と初得点に終始ご機嫌だった。 (文・写真=河野正)