困難に取り組むほど仕事が楽になる 地味にキャリアを後押しする「3つの逆説」
キャリアにおける成功はしばしば混乱しており、複雑で矛盾に満ちている。しかし、それは必ずしも悪いことではない
具体例を考えてみよう。あなたが興味のある話題について議論している2人に遭遇したとする。両者の主張を聞いてみると、どちらも妥当な意見を持っているが、一方は冷静で理性的に話し、もう一方は攻撃的で声を荒げている。あなたはどちらの意見に賛同するだろうか?攻撃的な人の主張は、たとえどれだけ正当であっても、相手を「声で圧倒しよう」とすることで説得力を失ってしまう。 最も説得力のある人になるためには、どのような場でも最も声の大きい人である必要はない。本当に影響力のある人物であることを証明する最良の方法は、地道に努力し、人々の信頼を静かに得ることである──これは「語るな、示せ」の原則に他ならない。自分が仕事で一番だと大声で主張しても、それが真実になるわけではない。むしろ、自分の仕事自身に語らせるべきなのだ。 投資家やビジネスチャンスを探している場合でも、「自分が何をしているか知っていることを言い立てる」ような見せびらかし屋になる必要はない。まず市場を理解し、自分の仕事を示して自分が最適な人物であることを見せるべきである。 ■3. 努力のパラドックス:困難なことをするほど人生が楽になる 2018年に『Trends in Cognitive Sciences』に発表された研究によると、人はより多くの努力を要するという理由でタスクを選ぶことがあることが明らかになった。これは、完璧に機能するエレベーターがあるのにあえて階段を選ぶようなものに聞こえるかもしれないが、この「理不尽さ」には理由がある。努力には本質的な価値があり、より多くの努力を費やして行ったタスクほど、それが自分にとっての内在的な価値を持つ。 この価値は、難しいことをできるようになることや、多くの人が難しいと感じるタスクが自分にとって簡単になることとして現れる。例えば、お金を稼いだり貯めたりすることがいかに簡単かを教えてくれるオンラインの金融グルたちを思い浮かべてみよう。彼らにとってそれが簡単なのは、他の多くの人が難しいと感じることを学ぶために、時間と努力を惜しまずに費やしてきたからである。 キャリアにおける複雑な課題に多くの努力を注げば注ぐほど、自信が生まれ、成功が容易になる。それは、自家製のクッキーが市販のものよりも美味しく感じるのに似ている。たとえ端が少し焦げていても、その味わい深さは特別である。その秘密の材料は何か?それが「努力」なのだ。 ■結論 キャリアにおける成功はしばしば混乱しており、複雑で矛盾に満ちている──しかし、それは必ずしも悪いことではない。矛盾そのものが問題なのではなく、真の課題はそれらをどのように解決するかにある。これらのパラドックスを受け入れ、適応することで、より効果的に自分の道を切り開き、より大きな成功への旅路を楽しむことができる。
Mark Travers