果樹の面積減少続く リンゴや梨…11品目は30年度目標すでに下回る
高齢化・労働力不足が深刻
主要な果樹として政令で指定する14品目のうち11品目で、2024年の栽培面積(同年7月15日時点)が30年度の政府目標を下回ったことが農水省の調べで分かった。高齢化や労働力不足で、政府の想定以上に廃園が進んだ。パイナップルを除く13品目は前年から面積が減少した。 同省は、果樹農業の振興を目指す基本方針で栽培面積の目標を定め、おおむね5年ごとに見直している。 20年に策定した直近の基本方針では、人手不足などを考慮して30年度の栽培面積の目標を設定。ブドウを除く13品目は、基準年の18年度から面積が減るか維持すると見込んだ。国内外の需要拡大を見込み、ブドウのみ増加目標を掲げている。 ただ、ミカン、パイナップル、キウイフルーツ以外は、いずれも19~22年に目標を下回り、その後も減少が止まらない。ミカンとキウイフルーツも現在の減少ペースが続けば、30年度までに目標を下回ることになる。担当者は「生産が増大に転じるよう、検討する必要がある」(果樹・茶グループ)と話す。 前年からの減少面積を見ると、ミカンとリンゴが900ヘクタールと最大で、栗が700ヘクタール、梅が400ヘクタールと続いた。一方、パイナップルは主産地の沖縄県でサトウキビからの転換が進み、前年から29ヘクタール(5%)増えた。 同省は、栽培面積の目標を含めた基本方針の見直しに向け、議論を進めている。今年4月に新たな基本方針を公表する見通しだ。 (岸康佑)
日本農業新聞