減益90%超……最近元気がない日産だけど、振り返ると記憶に残る名車は実に多い!
90年代中期から勢いに陰りが現れる
90年代中期には一転して、ちょっと元気がなくなってしまったのだが、そんな中でもいくつか記憶に残る名車がある。 1994年に登場した「ラシーン」は、前述のパイクカーの流れをくむ商品企画が受けて、現役時代もそれなりに人気を博したが、その後に絶版車となってから、あらためてその魅力が再認識されて、現在では中古車がプチカルト的な相場となっている。 1996年に登場した「ステージア」は、当時のワゴンブームの中で日本勢の頂点に立つことを念頭において開発されたモデルだ。目論見通り、それなりの価格帯でありながら売れ行きは好調だった。97年秋には、「スカイラインGT-R」ゆずりのエンジン・RB26DETTを搭載した、「260RS」まで登場したことには驚いたものだ。
21世紀に入ってからの日産
ここからは、現在も販売されているモデルを紹介。おそらく読者のみなさんもまだ記憶に新しいことと思うが、21世紀に入ってからの日産車でやはり際立つのは「R35GT-R」だ。すでに登場から17年が経過するが、その間ずっと絶大な存在感を発揮してきた。 2024年は、日本カー・オブ・ザ・イヤーの規定に該当するニューモデルがなく、ノミネートなしというさびしい状況となったが、それでも現行型が発売されていながら長らく滞っていた「アリア」と「フェアレディZ」の受注が正常化されたことや、「アリアNISMO」のような興味深いモデルが加わったのはうれしいニュースだ。 一方で、近年の日産はどちらかというとよいニュースよりもよろしくないニュースのほうが多かった印象だ。2024年も、業績の低迷や大規模なリストラでせっかくの創立90周年を祝う空気が吹き飛んでしまったのが残念でならない。要因はいろいろあるには違いないが、とにかくクルマが売れないことに尽きる。 「BEV(バッテリー式電気自動車)はあってもハイブリッドカーがないのがいけない」という声もあるが、本格的ハイブリッドカーがなくても北米で成功している他メーカーはある。そのうえ、そもそも日産には発電専用ガソリンエンジンとモーターを融合した「e-POWER」があり、可変圧縮比を実現したVCターボエンジンと組み合わせたことで、苦手といわれた高速燃費を大幅に改善することに成功している。 先進運転支援装備については、業界をリードするほど高度なことをすでにやってのけている。 個人的にはそれほど悪くないと思うのだが、うまくいっていないのは、商品の微妙なところや売り方に問題があるのではないかと思う。すぐに改善するのは難しいだろうが、ぜひ仕切り直して、いずれ「元気な日産」が再来するよう期待したい。
岡本幸一郎