室温18度以下は要注意!熱中症より死者多い「自宅で低体温症」
低体温症で亡くなる人の多くは、高齢者で糖尿病や精神疾患などの持病が悪化して身動きがとりにくくなったりするのが原因だ。 「暖冬だった昨年でも、40名近くが低体温症で救急搬送されてきました。68歳の糖尿病を患っていた女性が、深部体温25.2度という重度の低体温症で運ばれてきたケースも。この女性は血糖をコントロールするインスリンを服用していましたが、何らかの理由でインスリンを打たなかったことから高血糖になり自宅で意識を失い、寒い環境で身動きがとれずに低体温症になったとみられています」(藤見センター長、以下同) 懸命の処置が施されたが、この女性は最終的に亡くなった。ちなみに当日の大阪市の最低気温は8.6度で、最高気温は19度。厳しい寒さとは言えない日でも、自宅での凍死が起こりうることは肝に銘じておきたい。 向精神薬など、持病薬の副作用が低体温症を引き起こすこともあるという。 「たとえ持病がなくても、階段から落ちて脊髄損傷により手足が動かせなくなり、どんどん体温が下がってしまうケースも。さらにはベッドとタンスの間に挟まってしまって身動きがとれずに低体温症になるケースもあります。とりわけ、誰かしらに見つけてもらえる機会が少ない一人暮らしの方は注意が必要ですが、どんな人でも低体温症になるリスクはあると心得ていたほうがいいでしょう。特にこれからの忘年会シーズンには、酔っ払って玄関や廊下で寝てしまった人が急速に体温が下がって搬送されてくるケースがよくあります」 高齢者が低体温症で亡くなる例は後を絶たない。 「加齢により筋肉量が落ちると、体温をコントロールする機能が衰え、温度への感覚も鈍くなります。高齢のご家族については、定期的に体温を測って、低くないか確認したほうがいいでしょう」 体が震えだしたら、低体温症が起こり始めているサイン。小刻みに筋肉を動かして熱を作ろうとする体の防衛本能だ。それを見逃してしまうと……。私たちができる低体温症の対処法はあるのだろうか。 「WHO(世界保健機関)では部屋の温度は最低でも『18度以上』と勧告しています。18度を下回ると血圧が上がったり、脳卒中のリスクも上がったりしますが、低体温症を防ぐためにも室温を18度以上にして、寒いと思ったら暖房をつけること。また湯たんぽや電気毛布などを使って布団を温める工夫も。太い血管が通っている首まわりを温めるのも有効です」 自宅での“凍死リスク”は、けっして人ごとだと思わないようにしたい。
「女性自身」2024年12月3日号