薬が5種類を超えると「一気に高まる」リスクとは?
和田:ここがいちばん大事なポイントなのですが、塩分を控えるにしても、お肉を控えるにしても、あるいはお酒や甘いものを控えたりとか、いろんなものを我慢していると、その結果として現在では免疫機能が下がってくることがわかっています。我慢=ストレスが免疫には大敵なんですね。 そして、免疫力が下がると脳卒中や心筋梗塞よりも、がんで亡くなるリスクが高くなるのです。日々、私たちの身体では新陳代謝が起こり、古い細胞が死んで新しい細胞が生まれているわけですが、その過程で自ら作ってしまった出来損ないの細胞を掃除してくれるのが、免疫細胞の働きのひとつです。 この出来損ないの細胞ががんのもとになるわけですが、免疫細胞を丈夫にしないと、うまく出来損ないの細胞を駆除することができず、結果、がんになるリスクが高くなるわけです。 ですから、免疫細胞を丈夫にするために過度の我慢はよくないのに、日本ではずっと食べたいものを我慢しろ、飲みたいものを我慢しろという食事指導が続いているわけですね。もうストレスだらけなのです。 中尾:そうですね。食べたいものを我慢して、サプリメントを増やしたりしている人も多いと思います。
● 「健康」とは血糖値や血圧や コレステロール値の数字にあらず 和田:だから、日本は先進国のなかで唯一と言ってもよいくらい、がんによる死亡者数が増え続けているのです。日本人はもう我慢はやめて、もっと免疫機能を上げましょうというのが本当に大事なことだと思いますよ。 ついでに言わせてもらうと、60代のうちはまだいいのですが、70代以降になると意外と肺炎で亡くなる人も多くなります。新型コロナ・ウイルスの流行以前から、風邪をこじらせて肺炎になりそのまま亡くなる人が、実は毎年2万人くらいいたのです。 そのことを考えると、実はコロナと同じくらい、普通の風邪で亡くなっていたわけですよね。それは結局、免疫力を上げておかなければちょっとした病気でも命取りになるということだと思います。やはり、なるべく我慢をせず、ストレスを溜めないことが自分の健康のためにもいいのだろうと私は思いますね。 中尾:そうですね。私なんかもう、そんなに長生きしなくてもいいと思いますが、どうせ生きているならば健康でいたいですもの。 和田:あとは、何をもってして「健康」と言うか、ですね。 血糖値も血圧もコレステロール値も体重も、すべて正常ならば健康だというふうに思われているようですが、私からすれば、健康というのは、どれだけ元気に毎日が楽しいかということなんじゃないかなと思いますね。それは、WHOですら健康というのは主観的なものだ、なんて定義しているくらいですから。