「子どもが一番であるべき」と思っていた…「母の呪い」を解いた、小4息子の思わぬ言葉
子育て中のママは、自分のための時間がなくなりがち。子どもを持つ20~40代の女性413人を対象にした調査(※)によると、「自分がしたいこと」よりも「子どもがやりたいこと」を優先していると回答した女性が約7割でした。 具体的な比率を見ていくと、一番多かったのが「自分:子ども=2:8」(20.6%)で、「自分:子ども=3:7」(18.2%)、「自分:子ども=4:6」(15.5%)がそれに続くかたちとなりました。 【漫画を読む】「あのさーママ…」母を驚かせた息子の言葉とは? 2児の母でイラストーレーターの横峰沙弥香さんも、子どもが生まれてから子ども最優先の日々を送ってきました。それが当たり前だと思っていたから。でも先日、小4の息子のある言葉によって大きな気づきを得たそう。 横峰さんが子育ての切なさを、架空のスナック「スナック千代子」のピスタ千代子ママとしてつぶやく4コマ漫画連載「スナック千代子へいらっしゃい」(毎月第1・3日曜日に配信)。今回は、そのときのエピソードを漫画と共にお届けします。 ========================== ※博報堂こそだて家族研究所と株式会社インタースペースが、インタースペースが運営するママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」のユーザーを対象に協働で実施したインターネット調査。調査時期:2019年5月13~5月20日。 ==========================
息子が断ってくれた、母からの呪い
先日、小4の息子のまめ(愛称)が晩酌に付き合ってくれていたときのこと。 自分にとって一番ワクワクすることについてお互い話していたら、楽しいトークテーマとお酒の効果もあいまって、私はすっかりご機嫌になって、「我が子の成長を一番近くで見守ることが私の生きがい」という言葉が口をついて出ていました。 すると、まめはちょっと呆れたような表情で言いました。 「もうそういうこと気にしないでいいよ。なんか重いし」 えっ、重い!? まめの言葉に少し驚いて理由を聞くと、彼は私自身の好きなこと、楽しいことの話を聞きたかったのだそう。思えば子どもたちが小さい頃からいろんな「何が一番好き?」を聞かれてきましたが、その全てに「あなたたち」と答えていました。そこに「私」はおらず、「母親」としてそうあるべきだという思い込みからテンプレートの返事ばかりを繰り返して来たのです。 なぜそんな思い込みをしていたのか。 確か、まめがうまれて東京でひとり密室育児で疲弊していた頃のことだったと思います。当時は夫も今ほど育児に協力的ではなく、仕事が終われば当然のように夜遅くまで飲み歩き、ほとんど家に寄りつかない状態。授乳による酷い寝不足も作用して、自分がどこにもいなくなってしまったような虚無感に襲われ、心身ともに限界が来てしまったことがありました。よくある話です。 その悩みを母親に吐露したときに受けた言葉は、今も忘れられません。 「子どもの成長があなたの生きがいでしょう? それで十分なはず。なにを贅沢なこと言ってるの」 「あなたはいつもそう、自分のことしか考えない。まだそんなわがままが通ると思っているの?」 もちろん我が子の成長が私の大切な生きがいであることは大前提です。しかし「自分」というものがなくなってしまう感覚を不安に思うことはそんなに悪いことなのか。私は自分を責め、以来、子どもたち以外のことで自分が楽しい気持ちになるたびに我が子に対して申し訳なく感じたり、言い訳めいたことをくどくどと垂れ流してしまう癖がつき、10年間それを繰り返し続けてきたのです。 まめはそれが窮屈だったのだと。 ママのことは好きだし、ママが自分を好きでいてくれるのは嬉しいけど、お互いに一番じゃなくていいでしょ。 こんなに嬉しい言葉で呪いを断ち切ってもらえる日が来るなんて。 その日はまめが提案してくれた最高のスタンスに乾杯し、私自身のワクワクする瞬間についてたっぷり話をしました。 ちなみに私にとっていちばんワクワクする瞬間は、仕事終わりに楽しむお酒とおつまみのペアリングを考えることです。
横峰 沙弥香