【独自】ローカル鉄道 無関心層の意識調査へ 岡山県、利用促進策立案の参考に
JR西日本の最新公表値で新型コロナウイルス禍後も一部区間で利用低迷が続いている岡山県内のローカル線を巡り、県が鉄道を利用しない「無関与・無関心層」に対象を絞った初の意識調査に乗り出すことが7日、県への取材で分かった。これまでの県の調査で県民はマイカー依存度が極めて高く、鉄路との接点に乏しい傾向が確認されており、実効性ある利用促進策の立案につなげる考えだ。意識調査は年内に実施する。 JR西が今月公表した岡山エリア(旧岡山支社管内)の2023年度の区間別1キロ当たり1日平均乗客数(輸送密度)では8割の区間でコロナ禍からの回復傾向が見られたものの、国の「再構築協議会」が存廃を議論している芸備線では東城―備後落合間がJR西管内で最少となるなど厳しい状況が続いている。
一方、県が22年度、県民の交通利用実態を調べるため約7万世帯を対象に行ったパーソントリップ調査では、車が主な交通手段との回答が平日、休日ともに7割以上を占めており、鉄路と縁遠い人たちの行動変容をどう促すかが課題として浮上している。 こうした実態を踏まえて県はまず、無関与・無関心層の意識やニーズを詳細に把握する必要があると判断。調査の手法や質問項目は今後詰めるが、県内のローカル線沿線のマイカー利用者を抽出した上で、日常的に鉄道を利用しない理由やどうすれば積極的に利用するかなどを尋ねることを想定している。24年度中に結果を分析し、早ければ25年度に新たな利用促進事業を展開する。 県は現在策定を進めている次期県政中期行動計画(25~28年度)で、公共交通に関する政策指標の新設を検討している。県民生活交通課は「今回の調査は無関与・無関心層の生の声を集めて実情に迫る試み。市町村などとも連携しながらローカル線の活性化という結果に結び付けたい」としている。