崔善姫外相がロシア訪問、北朝鮮軍配置が前倒し…プーチン大統領の贈り物も早まる(1)
ウクライナ戦争への派兵をめぐる北朝鮮とロシアの「取引速度」に弾みがついている。北朝鮮軍およそ1万人がすでにロシアに入り、実戦投入時期も早くなる雰囲気だ。米大統領選挙などを意識して迅速に戦勢を変えようとするロシアのプーチン大統領の焦りを反映しているという分析が出ている中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に対する反対給付も近く提供される可能性がある。北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相の突然のロシア訪問もこれと関係があるとみられる。 ◆北朝鮮軍の実戦投入にロシアも反対給付へ 米国防総省は28日(現地時間)、北朝鮮がロシア東部に兵力1万人を派兵したと明らかにした。国防総省のサブリナ・シン副報道官はこの日、「北朝鮮軍の一部はロシアがウクライナと激戦をしているクルスク国境地域に向かっていると推定される」と述べた。 これに先立ち韓米は24日、北朝鮮軍およそ3000人りがロシアにいると確認した。韓国の国家情報院は「年末までに1万人が派兵される」と予想した。ところが米国側は5日後、すでに1万人が現地への移動を完了したと情報分析の結果を更新したのだ。 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も28日、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長との電話で「北の軍のウクライナ戦線への実際の投入が予想より速く進んでいる深刻な状況」と指摘した。「ロ朝軍事協力の進展を見ながら段階別の措置を積極的に取っていく」としながらだ。 政府関係者は「北の軍が実際に戦闘に投入されるのが我々の立場ではティッピングポイント(大きな変化をもたらす地点)」と話した。これは「ロシアの反対給付が近くあるという意味」と考えられるためだ。ロシアが北朝鮮軍を実際に活用する時点が早まれば、これに対する対価を払う時点も早くなるということだ。 ある情報筋は「昨年からの朝ロ交流・協力の推移をみると、一方が何かを提供すれば別の一方が大きな時差なく対価や補償を提供している」とし「1対1の取引が直ちに行われる。手形や小切手を切るのでなくその場で現金で払われるということ」と説明した。 韓国政府はあらゆる対応策を考慮しているという立場だが、北朝鮮軍の実戦投入およびロシアの反対給付が確認される場合、どの選択肢を実際に行動に移すかを決定する必要があるとみられる。尹大統領が言及した「段階別措置」の一部が取られる基点となる可能性がある。 趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は来月4日に訪韓する欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表と戦略対話を行う。北朝鮮軍派兵問題も主な議題になる見込みだが、双方が「安全保障・国防パートナーシップ」を締結する可能性もある。