アウディの最新EVは5台のコンピューター搭載? 「Q6 e-tron」にスペインで乗った!
次にパワートレインを見ていこう。フロントアクスルは、最高出力140kW/最大トルク275Nmを発生する重量87.5kgのASM(非同期機)モーターを採用。リアアクスルには、ヘアピンコイルを使用する重量118.5kg、280kW/580NmのPSM(永久磁石同期電動機)モーターを搭載する。レーシングカーで使用するようなドライサンプ式の新冷却システムなどを採用することで、コンパクト化と軽量化を果たしたという。 試乗したのはシステム出力285kW(387PS)、0-100km/h加速5.9秒、最高速度210km/h、航続距離625kmの「Q6 e-tron クワトロ」と、出力380kW(517PS)で同4.3秒、230km/h、600kmの高性能版「SQ6 e-tron」だ。
■コンピューター制御で走りは変わるのか 最初に乗った白いボディのQ6 e-tron クワトロは、EVらしい静粛性と乗り心地の良さが印象的だった。高性能なデイトナグレイのSQ6 e-tronは、ダイナミックモードを選択すると車高がぐっと下がり、まるでスポーツモデルのe-tron GTやRS e-tronを駆っているような感覚が味わえた。
試乗後、シャシー担当者にその乗り心地の良さの秘密を聞いてみると、決して足回りをソフトにしたというわけではないとのこと。サブフレームにボルトで直接固定した新しいプログレッシブステアリングや新しい5リンクフロントサスといった機械部分だけでなく、エアサス、ダンパー、操舵量が少なく正確なステアリング、リア寄りの駆動配分、95%の電気を回生するブレーキフィーリングなど、その多くがコンピューターでパワフルに制御されていることから、そのように感じられたのだろうとのことだった。
付け加えると、11.9インチと14.5インチのディスプレイを曲面で組み合わせた運転席側のMMIパノラマディスプレイと、助手席側の10.9インチMMIパッセンジャーディスプレイがとても見やすく、情報をうまく整理してくれているところもドライブの安心感につながった感がある。例えば助手席側のモニターにも大画面でナビが表示されるので、慣れない欧州のラウンドアバウトを通過する際には、前もってドライバーに「次は何番めの出口に向かえばよいか」を告げることができて、とても便利だった(もちろん、直前に音声でのインフォメーションがあるのだが)。こちらも、「デジタルステージ」と呼ばれるハイパワーなコンピューターによる恩恵だ。 ■ライトやゲームもコンピューター制御 アウディお得意のライティングシステムである「アクティブデジタルライトシグニチャー」も、E3 1.2によって進化している。前後8種類ものライトパターンで表示することが可能になったのだ。