羽生結弦が見せた「被災地支援」への熱いこだわり、関係者が語るチャリティー演技会の舞台裏
オリンピック2連覇に、個人としては史上最年少での国民栄誉賞受賞。数々の偉業を成し遂げてきた、希代のフィギュアスケーター・羽生結弦。本特集では、独占インタビューを中心に、「これまで」と「これから」を解き明かしていく。 【この記事の他の画像を見る】 「羽生結弦出演」となれば都市、地方を問わず多くの人が集まるが、今年9月15日に開催された「能登半島復興支援チャリティー演技会~挑戦(チャレンジ)~」は配信限定、ほぼ無観客の催しだった。出演したスケーターは羽生結弦、無良崇人、鈴木明子、宮原知子。チケットは4500円と決して安くはないが、1万枚以上売れた。収益は石川県に寄付される。
SNSでは海外からのチケット購入報告も目立っていた。日本国内のみ利用可能なサービス「Lemino」での配信は海外から視聴できないが、羽生に賛同し被災地を応援したい、と。 演技会収益からの寄付金額は数千万円になる見込みだという。 ■テレビ金沢が本領を発揮 「能登で被災した人たちのためになることをしたい」。羽生の思いを受けて、テレビ金沢がイベントを企画した。運営を担当したテレビ金沢の佐藤圭一取締役は、「長くテレビ業界にいますが、この規模のチャリティーはなかなかない。本当に多くの方に見ていただけた」と反響の大きさに驚く。
企画が動き始めたのは5月。すべてが手探りだった。「当初は、(有観客の)アイスショーを考えていたんです」(佐藤氏)。過去に金沢市でアイスショーが開催された実績はある。ただその場合、アリーナ会場に氷を張る必要があり、費用がかさむ。ショーを黒字で運営すること自体が難しく、チャリティーの趣旨からはずれていく。 そんなとき、県内唯一のアイススケートリンクで石川県の外郭団体が運営する「健民スポレクプラザ」が会場候補に浮上した。「練習用の古い施設で、華やかなショーはできません。構造上の問題で多くの人を現地に呼ぶのも厳しい。ここで滑っていただけるのか不安もありましたが、ご快諾いただけた」(佐藤氏)。例年10月開業だが、県の幹部に直接掛け合い、9月15日の演技会に向けて2週間前倒しで氷が張られることが決まった。