朝ドラ「ブギウギ」最終回の前に早すぎる全体総括 「音楽朝ドラ」真骨頂に向けた趣里と伊原六花の功績
そもそもは『ブキウギ』のヒロイン役のオーディションを受けていたという。大阪出身で、かつ抜群のダンス力も知っていたので、決定以前に私は、彼女をヒロイン役に予想したのだ。 そういう意味では「助演」にまわることは痛恨だったのかもしれないが、水川あさみと同じくネイティブ大阪人としてセリフの安定感を保ちながら、ドラマ全体に清涼な風を吹かせる秋山美月を見事に演じきった。 そんな伊原六花のベスト回はもちろん、東京の舞台で趣里が歌う『センチメンタル・ダイナ』に合わせて、列車の中でタップダンスを踊った回(11月17日)。この回は、タップの前の「せっせっせ」も含めて、『ブギウギ』トータルとしても、個人的には『大空の弟』に次ぐベスト回だった。もしかしたら、『ブギウギ』効果で今後、趣里以上にブレイクする可能性も高そうだ。
「新人賞」部門は、福来スズ子の弟、六郎を演じた黒崎煌代で決定だろう。今回がデビュー作というまさに新人にもかかわらず、クセのある難しい役を堂々とこなした。 ただ、忘れがたいのは序盤で幼少期の福来スズ子を演じた澤井梨丘だ。歌が実に素晴らしかった。梅丸少女歌劇団の押しかけオーディション(10月6日)で歌った『恋はやさし野辺の花よ』は、このドラマの成功を強く確信させるものだった。今後に大いに期待。 次に「歌唱賞」(ただし歌・演奏そのものだけでなく演出まで含む)。ベスト5と、捨てがたかった次点まで発表したい。私はこう見た、そして、こう聴いた。
1位:『大空の弟』:趣里が生歌で披露した回:殿堂入り(12月7日) 2位:『センチメンタル・ダイナ』:趣里の歌と伊原六花のタップダンス(11月17日) 3位:『ラッパと娘』:趣里による衝撃の舞台初披露(11月10日) 4位:『恋はやさし野辺の花よ』:澤井梨丘の梅丸少女歌劇団オーディション(10月6日) 5位:『別れのブルース』:特攻隊員に捧げた菊地凛子の絶唱(1月5日) 次点:『恋はやさし野辺の花よ』:母親・水川あさみが亡くなる直前の趣里の生歌(11月23日)