軽自動車が「主役」だった2013年 クルマ業界振り返り
脱大型車志向はこの10年ずっと続く流れだが、ユーザーの動きを捉えたメーカーが答えを出し、2013年は特に様々な要素が出揃った。自動車業界の2013年を振り返ってみると、様々な面で軽自動車の存在が浮かび上がってくる。すでに「軽自動車大戦争」は始まっているのだ。
軽自動車の比率が40%に迫る
表1は一般社団法人日本自動車販売協会連合会調べによる、普通車と軽自動車の年度ごと販売台数を元に比率を割り出したものだ。2010年がわずかに届かなかったことを除けば、30%代後半を維持し、2013年は限りなく40%に達しようという勢いだ。 自動車の販売ははっきりと二極化を示しており、かつてファミリーカーとして一般的であったコロナやブルーバードといった家族4人乗車を前提としたクラスは、輸入車やハイブリッド、新世代ディーゼル、あるいは独自のブランド性など、何らかのプレミアム性が無いとマーケットで戦えない。結果的に家族のための普通の乗用車は販売数が激減。消滅しかねない勢いになっている。 ではファミリーカーを購入していた層は、いま何を選んでいるのだろうか? 近年の動きではヴィッツやフィットといった小型車へ流入していたのだが、「大きいものは要らない」の流れはさらに加速しており「税制面でも合理的」とばかりに国内最小クラスである軽自動車へシフトしつつある。「いつかはクラウン」的世界観のもと、誰もがより大きいクルマを目指して買い替える時代ははっきりと終わりを告げた。クルマ選びを趣味やファッションの一部と捉えるプレミアム層と、単なる移動手段と割り切る軽自動車層がくっきり分かれたのだ。
メーカー各社の軽自動車シフト
自動車メーカーでもこのトレンドは当然キャッチしており、活発な動きを見せている。象徴的なのは日産のケースだろう。2001年にカルロス・ゴーン氏が日産のCEOに就任した際、「これだけ売れている軽自動車を何故売らない!」と鶴の一声を発し、軽自動車の販売を日産・リバイバルプランの柱のひとつに据えた。元々国策企業的なカラーを持つ日産は、日本の自動車メーカーの中でも特にエリート意識が高く、それまで軽自動車に全く興味を持って来なかった経緯がある。 従来、軽自動車は入門用の代用自動車であり、いずれは軽を卒業して普通車に乗り換えると考えることが常識だったからだ。顧客として考えるのはそれからでいい ── 軽自動車を自動車未満の商品として考える風土がそこにはあったのだ。ゴーン・ショックが無ければ、日産が軽自動車マーケットに進出することは無かった可能性が高い。こうして日産はスズキからMRワゴンのOEM供給を受け、自社ブランドでの販売を始めた。