軽自動車が「主役」だった2013年 クルマ業界振り返り
他のメーカーも黙って手をこまねいているわけではない。トヨタはかねてからダイハツを傘下に収めており、間接的には軽自動車のマーケットに参加して来たが、2011年からはついにトヨタブランドで直接OEMモデルの販売をスタートした。いずれダイハツ製ではなく、純トヨタ製の軽自動車が登場するのではないかという憶測も飛び交っている。販売力に図抜けたトヨタが軽自動車を売るとなれば、マーケットの拡大は間違いのないところ。トヨタの本気度いかんによってはやがて軽自動車の販売比率が50%を超えることがあっても不思議はない。 ホンダは2011年末にN BOXを発売し大ヒットを飛ばした。その後もN-ONEやN-WGNなど矢継ぎ早にシリーズの充実を図り、このクラスで大躍進を果たした。メーカー上位3社の中では軽自動車重視へのシフト速度は飛びぬけている。普通車に比べて販売価格の安い軽自動車は当然自動車メーカーの利益を圧迫する。ホンダは軽自動車の生産を鈴鹿工場に集約することでコストの圧縮を図り、すでに長期的な軽自動車シフトを見こんだ対応を済ませている。 もちろん長らく軽自動車マーケットのチャンピオンとして君臨してきたスズキも、双璧をなして二強を構成してきたダイハツも基幹車種のモデルチェンジやブラッシュアップを図ってこれを迎え撃つ体制を整えている。
東京モーターショーでも「主役」
こうした流れを見て行くと、2013年は各社が軽自動車マーケットに打った布石が、まさに色鮮やかに具現化してきたタイミングだった。ユーザーにとって軽自動車がより現実的な落とし所であるのと同様、日本の自動車メーカーにとって、激しい主戦場のひとつとなったのだ。
それは2013年の東京モーターショーからも見えて来た。ダイハツは軽規格のオープンスポーツカー「コペン」のニューモデルを東京ショーで発表した。2002年にデビューした初代コペンは同社にとって特別中の特別なモデルだ。これだけ広く老若男女から愛され、企業イメージを押し上げたモデルはダイハツ史上にかつてなかったからだ。軽のスポーツカーという特殊なクルマは台数が売れないので、量産効果が上げにくく利益も出にくい。それでもデビューから11年に渡って赤字を度外視して生産し続けたのは、コペンがダイハツのブランド力に直結することを明確に認識していたからだ。極端に言えば、トヨタ傘下にあってダイハツの存在意義を担う役割が新型コペンに期待されており、一方でダイハツの軽自動車全体のフラッグシップの責務も果たさねばならない。それだけのモデルのフルモデルチェンジに力が入らないわけはない。