球団に「バカにされていた」 初の10勝も納得いかない年俸…交渉で迫った“一筆”
リーグ最多29セーブの5年目オフ…希望額を書いて「これだけください」
「書いてくれませんでしたけどね。もうバカにされていましたから。『わかった、わかった』っていうだけでね」と牛島氏は振り返ったが、この時のやりとりを忘れることはなかった。「それを自分のなかで、よーしっていうふうに思ってやっていましたからね」。実際、これまで以上に気合も入っていたのかもしれない。翌1984年の中日は2位。プロ5年目の牛島氏は守護神としてフル回転し、リーグ最多、自己最高の29セーブをマークした。 そのオフの契約更改交渉で牛島氏は希望額を書いて「これだけください」と球団フロントに迫ったという。「そしたら『駄目だ』って言われたから『何で駄目なんですか、去年約束したじゃないですか。駄目だとは言わずに、わかった、わかったって言っていましたよねぇ。そういう話をして僕は発奮してやったわけですから』って言ったんですけどね。『その金額にしたらチームで一番高くなるから他とのバランスが取れない』とか言われてね……」。 その年の牛島氏は希望額にこそ届かなかったものの、倍増の年俸3600万円(推定)でサインしている。契約交渉も駆け引きありの闘いの場。「なかなか給料が上がらない時代でしたからね。まぁ僕も契約更改で遊んでいましたよねぇ」と笑うが、そこまでやった選手もそう多くはいないはずだ。
山口真司 / Shinji Yamaguchi