「壊すものを造って、批判を浴びとる。万博は、もっと夢があるもんやと思ってた」工事業者が語った「士気の上がらない現場」 リングやパビリオン建設の下請け経営者や作業員の本音
労働者は全国で奪い合いになっているが、万博に引き寄せられる企業は少ないのが現実だ。 「造った物が後世にも残るなら、宣伝にもなるやろ。せやったら赤字覚悟で引き受ける企業もあってもおかしくないんやけど、地元からはそういう声は聞こえへんね」 ▽もうちょっと夢があるもんやと そんな今宮さんだが、1970年の大阪万博には、憧れを隠さない。事務所には当時のシンボル「太陽の塔」の模型を飾っているほどだ。本音では、仕事で万博に関わることに喜びを感じている。 取材班は最後に尋ねた。来年の開幕日までに、建設工事は間に合うのか。 「中止はないんちゃいますか。工事が間に合わなくても、張りぼてのまま開幕させるんやないか」。そして、ちょっと考えてから口を開いた。 「万博は、もうちょっと夢があるもんやと思ってた。でも、『子どもを連れて行きたい』って人が、工事の関係者内には現状、誰もおらんのがこの万博の現実を示しとるような気がするんですよ」