「救急車を呼んでもほぼ助からない」途上国の救急現場の悲惨な現実…八幡平から世界を救う「28歳ITベンチャー社長」の挑戦
「現在は八幡平市の防災用LINEも運営しています。僕が開発したアプリでたくさんの命を救えると思うと、非常にやりがいを感じますね」 【写真】M8以上巨大地震「全国危険度マップ」と地震の建物への影響 岩手県八幡平市にあるゴールデンフィールド株式会社の金野利哉さん(28歳)は、前編で語った「ベッドサイドヒーロー」以外のアプリ開発にも力を入れている。
AIで病気の予測が可能に
「Apple Watchで高齢者の見守りを行う、犬をモチーフにした『みまもりサービスHachi』というアプリも開発しています。遠くに離れて暮らす家族を、遠隔で見守る際に使うものです。 アプリ上では心拍数や血中酸素濃度、睡眠時間や歩数を計ることができます。さらに、自宅で転倒して身動きが取れずに救助を呼べない、といった状況を防ぐため、SOS機能がついています。Apple Watchの画面を5秒間長押しするだけで、見守り側の全員に通知がいく仕組みとなっています。 毎日、安否確認の電話をするのはお互い大変だし、見守り用のカメラを設置するのは抵抗がある人も多い。さりげなく見守るというのが『Hachi』のコンセプトです」 「Hachi」には別の目的もあり、金野さん自身も被験者として実験に参加している。 「僕を含め、300~400人ぐらいの方に24時間機器をつけてもらっていて、日常のバイタルデータをサーバーに溜め込んでいます。一方、体調が悪化した急性期状態のバイタルは『ベッドサイドヒーロー』で、今後データを取っていく予定です。 どんな病気にも、バイタルに何かしらの特異的な兆候があると考えられています。記録したデータが増えれば増えるほど、日常生活と異常状態にあるバイタルの差を正確に計測することができ、AIで正確に疾病を予測することが可能になるのです」 急性期のデータに着目したのは、金野さんの救命士としての実体験によるところが大きい。 「実は、救急車やAEDの心電図は紙で出力されていることがほとんどで、現状どこにもデータベースとして保管されていません。世界的に見ても、急性期のバイタルを記録しているところはほとんどない。機械学習はデータがあればあるほど、より正確なものに近づきます。非常にもったいないことですよね。 日常生活上のバイタルや、急性期におけるバイタルをこれほど計測している会社は他にないと思います。だからどこよりも正確なAIが作れる。これが一番の強みです」