「賃金」と「少子化」の対策がダメなのは「日本人の性格」が原因かもしれない…!「賃金2倍」で日本に起こる「劇的な変化」
子ども手当ては「何が」目的なのか?
岸田文雄首相は「異次元の少子化対策を打つ」と言いながら、一向に効果は表れていない。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” そもそも、出生率の向上に成功したと言われていたヨーロッパの国においても、その効果は一時的で、長期的には子どもが増えているとはいえない。いくら子ども予算を拡充しても、子どもの数を増やすのではなく、子どもの教育費に回ってしまうからということのようだ。 おそらく日本でもそうだろう。 では、子ども手当をもらっているのに、子どもを増やすために使うのではなくて、子どもの教育費にお金をかけてしまうことは、問題なのだろうか。 人的投資理論から言えば、教育費にお金をかければ、子どもが大人になった時の生産性が高まるのだから、子どもが増えるのと同じ効果があるはずだ。 極端なことを言えば、普通の人の100倍の生産性の人がいて、その人が100倍の所得を稼いで、150倍の税金を払ってくれるなら(累進課税だからそうなる)、人口減少を気に病むことはないのではないか。
高い「収入」は高い「生産性」を意味しているのか
そうは言っても介護など、生産性を上げることが難しい仕事もあるのだから、所得の問題だけでは、解決できないという反論があるかもしれない。 しかし、150倍の税収があるなら、普通の生産性の人を高い賃金で雇うこともできるし、外国人労働者に高い賃金を払って引き寄せることもできる。 では、教育によって、どれだけ生産性が上がるだろうか。 労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2023』によると、大卒の人の生涯賃金は男性3.2億円、女性2.5億円、高卒の人は男性2.6億円、女性1.9億円である。大卒の男性の生涯賃金は、高卒より1.2倍、女性は1.3倍高いわけだ。 これを単純平均すると、約1.3倍となる。つまり、教育費をかけると生産性が1.3倍になるわけだ。 生産性が1.3倍になっていれば、人口が1.3分の1、すなわち77%になっていても同じ生産物を生産できるはずだ。
なぜ教育投資に否定的なのか?
日本の生産年齢人口(15-64歳)が2024年の7347万人からその77%の5659万人になるのは2048年のことだ。今後、24年間は大丈夫ということである。2倍になれば、もっと豊かになれる。 しかし、日本の少子化対策は「子どもが増える」ことの方が大事で、生産性を上げるために、「子どもの教育」に否定的なようだ。 私はここに岸田内閣の「異次元の少子化対策」の限界があると思う。 後編では「カルロス・ゴーンの「年収16億円」が許せない…! 日本の政治家が落ちる「少子化の罠」」では、子どもの教育を拡充し、日本の生産性をあげるという考え方が、なぜ浸透しないのかを考えていこう。
原田 泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授 元日本銀行政策委員会審議委員)
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