相手を二度“負かす”棋士の一人・藤井聡太。「こいつには勝てない…」と思わせることもある盤外戦術のひとつ・感想戦の楽しみ方
藤井聡太も「二度負かされる」棋士
将棋界はプロになってから約40年ほぼ同じ相手と戦い続けます。一度苦手意識を植え付けられるとなかなか払拭できるものではありません。 大山先生はもちろん将棋もめちゃくちゃ強かったですが、このような盤外戦術も長たけていたと言われています。 そして現代でも「二度負かされる」棋士がいます。それが藤井聡太竜王名人です。藤井先生が盤外戦術で精神的優位に立っているわけではありません。もっと恐ろしい負かされ方です。それは読みの量です。 対局中悩んだ一手がすべて相手の思考の範囲内で、相手から代替案で挙げられた一手が自分の思考外の良い手だったらどう思いますか? 「こいつには勝てない」 そう思いますよね。それをやってしまうのが藤井先生です。実際に負けた棋士のインタビューで、感想戦で改めて強さを実感したと答える棋士がいました。 もちろん藤井先生は相手を貶めるためにやっているわけではありません。純粋に自分が思ったことを伝えているんだと思います。ただ、僕が対局者だったら、「悪い人でもないし将棋も強いし、なんだよこいつ……付け入る隙ないじゃん!」って思っちゃいます。 そんな対局中では語られなかった棋士の思考が垣間見える感想戦も、ぜひ観戦してみてください。 寺内ゆうき お笑いコンビ「ランパンプス」。2013年、楽屋で先輩に誘われた将棋でボロ負けしたことをきっかけに将棋の勉強を始める。年間のプロの将棋観戦は1000局以上。YouTubeチャンネル「よしもと将棋芸人と金チャンネル」を開設し、将棋を知らない人にもわかりやすく将棋の魅力を伝えるための動画の企画・出演・編集を担っている。
寺内ゆうき