韓国憲法裁判官の一人「6人での決定は不可能」…このままでは弾劾審判終わらない
6人体制で運営されている憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に続いて韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行首相の弾劾審判まで全10件の弾劾審判を同時に進める事態に直面した。こうした中、6人の裁判官のうち一人は「6人全員一致議決は不可能」という立場であることが確認され、崔相穆(チェ・サンモク)「代行の代行」経済副首相が3人の裁判官を任命しない場合、尹大統領弾劾審判の結論を出せないまま「憲法裁の時間」がひたすら長くなるという見方が出ている。さらに来年4月18日に文炯培(ムン・ヒョンベ)裁判官、李美善(イ・ミソン)裁判官までが任期満了で退任すれば、憲法裁には4人の裁判官だけが残り、憲政史上初めて「植物憲法裁」に転落する。 これに先立ち14日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾訴追案を処理した最大野党の共に民主党は、27日に韓権限代行の弾劾案を追加で憲法裁に送った。与党の国民の力は韓権限代行弾劾案議決について法的・手続き的正当性が欠如しているとし、憲法裁に権限争議審判および効力停止仮処分を申請した。半面、キム・ジョンファン弁護士は「韓権限代行の任命権不行使不作為違憲確認」憲法訴訟を提起した。 ◆憲法裁内部で「6人決定否定論」…弾劾の終わり見えず 事件は山積しているが、憲法裁は非常事態を迎えている。国会が選出すべき憲法裁判官3人を国会が長期間放置し、憲法裁は機能まひ直前の10月14日、「裁判官7人以上で事件を審理する」(23条1項)という憲裁法規定効力を自ら停止しながら審理機能はかろうじて維持した。「便宜主義方式」(ハン・サンヒ建国大ロースクール教授)という批判もあったが、「苦肉の策」(裁判所関係者)という評価が多かった。 しかしこれは審理定足数に関する決定にすぎず、「終局審理(議決定足数)は6人以上の賛成がなければならない」(憲裁法23条2項)という規定まで適用されるかは不明だった。理論的には現6人の裁判官全員一致で罷免・違憲など主要決定が可能という解釈も出たが、憲法裁はその間6人で終局審理が可能かについて「議論中」とだけ明らかにした。 ところが最近、憲法裁内部で「裁判官のうち一人は『6人だけで事件を終結させるのは不可能』という立場」という話が出てきた。この裁判官は「憲法は裁判官9人を大統領・大法院(最高裁)長・国会が各3人ずつ指名するが、国会指名の3人が満たせていない状況で残りの6人が最終決定を出せば民主的正当性がない」という趣旨を他の裁判官に明らかにしたという。 仮に裁判官が現在のような立場を維持する場合、現6人の体制では尹大統領弾劾審判をはじめとするすべての事件の結論を出せなくなる。ソウル市立大ロースクールのキム・テファン教授は「6人体制だから決定できないという規定はない」としながらも「ただ、6人が審理して6人が賛成するのと9人全員合議体で6人以上が賛成することに対する規範力は異なって受け入れられるという懸念もある」と話した。 ◆崔相穆権限代行「代行の代行は役割制限的」…複雑な憲法裁 後任の裁判官が補充されてこそ憲法裁内で異見なく決定が可能ということだが、これも現実の障壁が高い。韓権限代行は3人の裁判官任命のために与野党の合意を前提条件としたが、現在のところ与野党は譲歩する考えがないからだ。しかも韓権限代行の後任の崔相穆(チェ・サンモク)権限代行は27日、「権限代行の権限代行は役割が非常に制限的」と明らかにした状態だ。 民主党が予告したように大統領権限代行の憲法裁判官任命保留を理由に弾劾するほど後任権限代行の任命権行使範囲はさらに狭まる。高麗大ロースクールの張永洙(チャン・ヨンス)教授は「後順位の権限代行の権限自体が法的に小さくなるのではないが、現実的・政治的に権限の行使に対する負担は大きくなるだろう」と話した。 憲法裁がこうした複雑な状況を解決する適切な方法はないというのが法曹界の見方だ。尹大統領弾劾案が渡った後、憲法裁は「大統領弾劾事件が最優先」という立場だったが、27日の韓権限代行弾劾案と国民の力の権限争議審判および効力停止仮処分申請が裁判官任命権と重なったからだ。 現在のように憲法裁が9人体制完成を終局審理の前提と見る場合、国民の力の請求にある「韓権限代行の裁判官任命保留は弾劾事由にならない」という趣旨を問いただす必要性がある。しかし弾劾審判と同じく権限争議審判や仮処分申請も現6人体制で結論を出すことができるかが「反復論争」に浮上する可能性がある。 ◆最悪の場合は4人体制…尹大統領弾劾審理など「オールストップ」 与野党が裁判官任命膠着状態を来年4月18日まで継続する場合、憲法裁ではすべての機能が停止する最悪の状況を迎える。文炯培憲法裁判所長権限代行と李美善裁判官が退任して4人体制になるからだ。この場合、尹大統領弾劾審判を含むすべての事件の審理がオールストップする。 文・李裁判官の後任は大統領が推薦するが、大統領の職務停止状態で大統領権限代行が推薦できるかも不透明だ。憲法裁憲法研究部長だったキム・スンデ元釜山大ロースクール教授は「4人体制になれば憲法裁では対応できない瞬間を迎える」とし「国会が譲歩しようと憲法裁が決断を下そうと、最悪の事態が訪れる前に憲法裁のまひを防がなければいけない」と話した。